アル・ゴアが語るボブ・ディラン:彼が私の政治観を作った

ノーベル賞授賞式を目前に控え、米元副大統領がボブ・ディランを語った。Christian Bertrand / stocklight / Shutterstock

アル・ゴアはノーベル賞授賞式を前に、彼の政治感に影響を与えたボブ・ディランの言葉、ブルースハープをもらったエピソードなどシンガーソングライターへの思いを語った。

2000年の大統領選時に行われたローリングストーン誌とのインタヴューで当時のアル・ゴア候補は、ボブ・ディランのアルバム『追憶のハイウェイ61(原題:Highway 61 Revisited)』と楽曲『女の如く(原題:Just Like a Woman)』がお気に入りだ、と明かしていた。「偉大なるアメリカ音楽の伝統の中で新たな詩的表現を生み出した」としてディランにノーベル文学賞が授与される2016年12月10日の授賞式を前に、本誌は社会的に影響力を持つ熱烈なディラン・ファンと共に、ディランの言葉が与える影響について論じ合った。その中のひとりであるアル・ゴアのナッシュビルの自宅には、ボブ・ディランから贈られたブルースハープを飾った特別な場所がある。
以下はゴア自身によるディラン観である。

ボブ・ディランは私の好きなライターであり、パフォーマーであり、社会哲学者である。こう言うと大げさに聞こえるかもしれないが、彼は私の人生に大きな影響を与えた人である。『風に吹かれて(原題:Blowin’ in the Wind)』が我々の世代に与えた影響は計り知れない。この曲は公民権運動の重要なターニングポイントとなった。この時私は初めて、世の中をより良くしようと努力する中で音楽の果たす役割の大きさを認識した。ディランの言葉は、社会改革、黒人問題をはじめとするあらゆる差別への反対、我々が今なお闘っている様々な問題を、最も効果的かつ強力に表現していた。彼の作品は、我々の意識を変えるような素晴らしい曲の中のひとつだ。ある程度は我々自身で成し遂げたが、それに対するディランの貢献度は高く評価されて然るべきだと思う。

ディランを友人と呼ぶのは僭越であり、また光栄なことでもあるが、彼と膝を突き合わせて話す機会をもらえたことは、一生の思い出である。賢く思いやりのある人間との普通の会話のようであるが、その言葉の中には、立ち止まって深く考えさせられる見識が散りばめられている。我々はいつでもこの国や世界を取り巻く状況について考えている。

Translation by Smokva Tokyo

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