東京拘置所の麻原から、政治家、戦場までを撮る、報道カメラマン・宮嶋茂樹という生き方

By Joe Yokomizo 2017/月号 P76〜79 |
ローリングストーン日本版WINTER号/連載 煙たい男たち/宮嶋茂樹 Photographs by Maciej Kucia(AVGVST)

こうした撮影にまつわる苦労は挙げればきりがないそうだ。一番辛かった現場を訊ねると、宮嶋はこう答えた。「一番辛いのは、撮れなかった時ですよ。何日も張り込んでいるのに一向に撮れない。相手が大物ならまだ救われるけど、この人、誰?なんていう時だと本当に辛い。あとは、撮れたのにボツになった時も辛いですね。企業のトップのスキャンダルやヤクザの写真はボツになったものもあるので。だから、撮れたものは、どれだけ辛くてもその辛さはすぐに忘れてしまいますね」と。

それにしても宮嶋の撮影対象は、芸能人、政治家から、戦地の兵士までと幅広い。特に戦地での撮影は、辛い云々のレベルではなく、命の危険もある。宮嶋はさらりとこう語る。

「別に僕が行っている戦地はそれほど危険じゃないですよ。それよりも国内の自然災害のほうが危険ですね。熊本の震災も、余震が来るかもしれない、雨が降って、地滑りがくるかもしれないなかで撮影をするほうが、実は戦地よりも危険なんです」と。こうした発言からは、危険を顧みず撮りたいものはなんとしても撮りに行くという姿勢がうかがえる。

彼は自らのことを"ニュースグルーピー"と称している。つまり、ニュースがあると追いかけたくなる。しかも、そのネタが大きければ大きいほどに燃える。「テレビで観るのが嫌で、どうしても現地へ行ってこの目で見て写真を撮りたいんですね。ただ、行くのは早ければいいというものじゃない。良い写真が撮れる、一番いい時期に行きたいんです。そうして思い通りの作品が撮れた後の一服は最高ですね」と葉巻を燻らせながら教えてくれた。


Photographs by Maciej Kucia(AVGVST)

ここで宮嶋が"良い写真"というのは、良心的な写真とは違う。一番派手な瞬間を捉えた写真のことだ。「そこが一番絵になりますから」とさらりという。だが、こうした発言は、ジャーナリストとしては普通危険視される。ジャーナリズムは公平にして、客観に徹するのが前提とされているからだ。宮嶋はそうしたきれいごとを鼻で笑う。

RECOMMENDED

TREND