大統領選翌日のオバマ大統領最後のインタヴュー:トランプの勝利、これからの自分

ーアメリカは依然として進歩し続けていると思いますか? 

何事も決めつけることはできないが、公明正大で平等でオープンなアメリカを強く求める国民が大多数を占め、さらに増え続けているのは事実だ。

今分析しているひとつの課題がある。私は多くの労働者階級の白人票を獲得したが、中間選挙では民主党はそれらの票を維持できなかった。さらに今回の大統領選ではそれらの票の多くがトランプに流れてしまった。それらの票を獲得できなかった原因の一端は我々の力不足であり、我々のミスだろう。また、全米各地のバーやレストランで流れるFoxニュースの影響もあるかもしれないし、さらに、積極的に議論を広めるような民主党員による草の根レベルの運動が足りなかったせいかもしれない。民主党の責任を問う批評は当たっている。我々は外交政策や国家政策に重点を起きすぎたあまり、より生活に密着した問題の議論が疎かになってしまった。住民に寄り添えば我々は強い。私がアイオワを制したのがその良い例だ。

ー白人の労働者階級は大きな経済的問題を抱えているにもかかわらず、民主党はなぜ彼らの大規模な票を逃したのでしょうか?工業中心の州で彼らは職を失っています。

それは簡単には説明がつかない。ただの経済問題ではないからだ。文化的な問題でもある。さらに情報発信の問題でもある。確かに、オートメーションの普及により多くの製造業が廃業したり転換を余儀なくされた。しかし私の任期中は、かつてないほどのレベルで製造業の雇用を増やした。ミシガン州では・・

ー私の言いたいのは・・

ちょっと待って、最後まで言わせて。ミシガン州で2008年だけでなく2012年にも大差で勝利できたのは、我々が製造業の雇用問題を重視して取り上げたからだ。その結果、それまで潰れるしかなかった自動車工場の勤務シフトも2倍に増えた。最低賃金法、家族休暇制度、コミュニティ・カレッジへの支援、さらには患者保護並びに医療費負担適正化法(オバマケア)などは、働く世代の家族や白人、黒人、ヒスパニックなどすべての国民のための大きな支援策だ。特定のコミュニティの人々が政策の外へ追いやられるのを見過ごさないように我々は努力してきたし、「それができていない」という我々への批判は間違っている。実際に、「労働者階級の家族がないがしろにされている」とか「民主党は労働者階級の白人家族を軽視している」などと書かれることもある。しかし真実は、我々はいろいろな公約を出しているが、それが対象となる人々のコミュニティまで聞こえていない、ということである。その上、「オバマやヒラリーは自分たちの銃を取り上げ、自分たちを虐げようとしている」などと歪曲されて伝わっている。

今我々が問題にしているのは、ソーシャルメディアやインターネットを通じて人々が、ねじ曲がった情報を"ニュース"として受け取っているということだ。ちょうど政策担当補佐官のデイヴィッド・サイマズとも話した所だが、彼は彼のFacebookページや高校の同級生たちの間で「オバマは"忠誠の誓い"を破った」などという酷い書き込みが拡散しているのを見つけた。

1組織としての民主党は別として、我々を含め、よりオープンなアメリカを求める進歩主義者にとって重要なのは、高級技術官僚の発言を拠り所にし、それをニューヨーク・タイムズ紙の編集委員と共有したりすることではない。国民により近い場所で国の隅々にまで政策を展開する方法を考えることである。それは国民に「自分たちの生活がより豊かになる」と強く確信させ、国民の支持を得ることにつながる。我々の声が届かず顔も見えないほど国民から遠くにいると、我々は負け続けるだろう。そうなると、私がいくら「共和党の公約は国民のためにならない」と言っても無駄だ。

ー民主党の将来についてどうお考えですか?(大統領選の)1ヶ月前、あなたはひとつの政党で三権を掌握し、政権を維持するための投票抑圧や選挙区再編など、何でもできる状況にありました。誰もが「共和党は断末魔の苦しみにあえいでいる」と確信していました。今後、民主党はどうなるのでしょう?とても大きな右方転換になりそうですが。

そうだな、でも大きな右方転換ではない。ちょっと、これを・・

Translation by Smokva Tokyo

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