マリオの生みの親、宮本茂インタヴュー:ゲーム制作の真髄、アップルとの取り組み

By John Davison
(Photo by John Lamparski/Getty Images)

ー具体的にどのような部分で一致していたのですか?

はじめから今回はできる限りシンプルなマリオのゲームを作りたいと決めていました。30年前に私たちが最初に『スーパーマリオブラザーズ』を制作したときに、なぜあれほど人気が出たのかといえば、操作は基本的に右に進むこととジャンプすることだけだったからです。極めてシンプルなゲームでした。それからマリオは時を重ねるごとに複雑化してゆき、今ではコントロールが難しいゲームになっています。今回は「もしプレイヤーの操作はジャンプだけで、他は全部自動的に進んでいくゲームを作ったらどうなるだろうか?」というアイデアから始まりました。考えなければいけなかったのは、どうやってそのベーシックな構造を実現し、それでいておもしろいゲームにするのかということでした。

ーあなたは先ほど、自分が一番年上だから自分がボスだとおっしゃいました。年をとるにしたがって、自分が楽しいと思っているものが他の人たちもそう思えるのかということが心配になることはありませんか?

心配になったとしても、心配したから他の人が楽しいと思うものがわかるようになるわけではありません。実際、自分の作ったものがどれだけ売れるのかを見るのは楽しいです。私が考える"他の人が楽しいと思うもの"を作ろうとするよりも、ただ自分が楽しいと思うものを作り続けて、他の人もそれを気に入るかどうかをみるのが私のやり方です。

ーあなたのチームでのおもな仕事はなんですか?クリエイティヴな部分ですか?あなたのメイン・フォーカスは何ですか?

もし建築に例えるならば、基礎となる構造の部分を建てることが私の役割です。ですから、制作の中でやろうとしていることが全体へ影響することなのか、それともシンプルな変化を特定の小さなエリアでつければいいのかということを見極めるのは得意になりました。

ーあなたはマリオの制作に30年かかわり、ある意味ではマリオとともに生きてきました。マリオとの関係はどのようなものでしょうか?マリオに飽きたりはしませんか?

私はこのことをタレント事務所を経営するような感じで見ているんです。様々な個性豊かな人たちがいるわけですが、新しいテクノロジーや新しい試みを世に出すときには、まずマリオにその新しいものを体現するキャラクターとして選びます。そして、もしそれがマリオにあまり合っていないものであれば、そこではじめて他のキャラクターを選びます。それが私とマリオの関係ですね。もうひとつ言うとすれば、私たちはいつもマリオの見た目を進化させています。いつでもフレッシュにアップデートしているんです。

ークリエイティヴの面でどのようなものから影響を受けていますか? ゲームからインスピレーションを受けることはあまりないと過去にあなたはおっしゃっていましたが、映画やテレビ番組などはどうですか?

ふつう、私は自分の製品と競合するようなものは見ないんです。でもテレビはたくさん観ますね。特にドラマが多いです。若いときには漫画もたくさん読みました。そして、どれが売れていて、どれが売れていないのかということにはいつも興味があったんです。最近では様々なテレビドラマを観て、成功しているドラマの人気の秘密は何かということを考えるようにしています。どのようにそのドラマが構成されているのかという部分ですね。というのも、成功しているテレビドラマの人気の理由というのは、ゲームが成功する理由と重なる部分があると考えているからなんです。

それ以上に考えているのは、私が毎日を過ごす中でおもしろいと思うことを、どのようにゲームに生かすことができるかということですね。
Translation by Yu Sekine

RECOMMENDED

TREND