マリオの生みの親、宮本茂インタヴュー:ゲーム制作の真髄、アップルとの取り組み

By John Davison
(Photo by John Lamparski/Getty Images)

ー例えばどのようなものですか?

私たちがWii Fitをつくる何年も前に、日本ではみんなで家に集まって、こんな風におもしろいダンスをするのが流行っていたんです。思い出すのは、ある日私が近所の家に行ったら、きちんとした格好をした弁護士の人が、リビングでそのダンスを踊っていたんです。子どもたちはお父さんがそのダンスを踊る姿に大笑いだったのですが、彼が楽しい時間を過ごしていたことは明らかでした。Wii Fit用のゲームとバランスボードの制作を始めたときには、その時のイメージが頭の中にあったんです。

ーあなたは極めて多忙な日々を送っていますね。仕事以外のことをする時間をどのようにして作っているのですか?

たしかに平日は夜遅くまで働いていることが多いですが、週末に家族と過ごすことは必ずしています。週末の時間は仕事からは完全に切り離しています。時間がかかるので、ゴルフやギャンブルなどはしません。そういったものに時間を使わないようにしています。

ー休みの日にはどんなことをしますか?

昔はよく子どもたちとキャンプに行ったりしたけど、今は家でゆっくりすることが多いかな。"何もしない"ということはあまりよく思われないこともありますが。今は子どもたちも成長して独立していますので、妻とガーデニングを楽しんでいます。あとは日曜大工ですね。家具を作るのが好きなんです。

ー『スーパーマリオメーカー』や『スーパーマリオ ラン』の『王国作り』モードなど、最近のゲームにクリエイティヴな要素が多いのは日曜大工の影響ですか?

日曜大工の影響と言えるほどではないかもしれません。でも何かに取り掛かるときには必ず座って絵を描くことから始めます。プロジェクトが一旦動き出してからは、そのプロジェクトのことを常に考えています。日曜大工のプロジェクトでも、ゲームのプロジェクトでも、それは同じです。

ー今でもアナログな方法で仕事をしていますか?コンピュータでの作業に入る前に手描きでアイデアをまとめますか?

ゲームがどうなるかという絵はあまり描きません。グラフやフローチャートを描くほうが多いですね。というのも私はゲームの構造をデザインするのが役割ですから、物事がゲームの中でどう進んでいくのかというプロセスの下書きを描くのです。それはいつも最初に紙に描きます。日曜大工の時でさえも、計画を紙に描くことはします。どの長さに切るのか、そしてどうやってそれぞれの部分を組み合わせるのかということをわかっていなければいけませんからね。

ーご自身をアーティストだと思いますか?それともデザイナーだと思いますか?

デザイナーだと思います。私は自分が作品を作っているとは思っていないんです。私がやっているのはみなさんが楽しめる製品を作るということです。だから私はいつも自分の製作したゲームを"製品"と呼ぶのです。"作品"ではなくて。プランナーの仕事は、有り物から作り得る最高のものを作るということです。アイデアありきでそれを具現化するアーティストとは異なります。

つまり私が"テレビゲームを作りたい"と思ったわけではないのです。ただ一旦テレビゲームを作ることに決まってしまえば、「よし、じゃあ作るからには、最高のゲームを作ろう」となるのです。テレビゲームであってもあるいは他のものでも、私が作り上げるものである限りは与えられた枠組みの中で最高のものを作り上げようという意気込みでやってきました。
Translation by Yu Sekine

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