ロンダ・ラウジー:スーパースターがUFC 207にすべてを賭ける理由

By Mike Bohn
勝っても負けても、アマンダ・ヌネスとの復帰戦は謎に包まれている。(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)
米国時間2016年12月30日(金)に開催されたUFC 207で、待望のオクタゴン復帰を果たしたロンダ・ラウジー。しかし試合が近づいても、ラウジーは大いなる謎に包まれていた。

ラウジーがUFC史に残る衝撃のアップセット負けを喫してから13か月が経った。2015年11月のUFC 193で、ホーリー・ホルムがラウジーを失神KOした場面は、まちがいなくMMA史上、もっとも記憶に残るハイライト・シーンである。それ以来、"ラウディ"ことラウジーは完全な沈黙を守り、世間の目を避け続けた。

その姿勢は、試合の前週、いわゆるファイト・ウィークに入っても変わることはなかった。というのも今回初めて、UFCのメインイヴェンターに報道規制がしかれたのだ。ラスヴェガスのTモバイル・アリーナで、アマンダ・ヌネスからUFC女子バンタム級タイトルを奪還すべく臨む試合の前に、ラウジー陣営は必須とされている試合前の計量式を除いて、ファイトウィークのメディア対応を一切行わなかったのだ。

ホルムに負けるまで、ラウジーはメディアに露出しまくっていた。2013年2月にUFCデビューを飾って以来、ラウジーは3年足らずでタイトルを6度も防衛する、もっともアクティヴなチャンピオンだった。ロンダはテレビ番組やヒット映画に出演したほか、ラジオやテレビ、出版媒体のインタヴューにも精力的だった。

実はラウジーは、ホルム戦を前にして燃え尽きていたことは明らかだった。ラウジーはUFC 193大会前にローリングストーン誌に、自分の願いはもうスポットライトから姿を消したいだけなのだと明かしていた。結局まさにその通りになったわけではあるのだが、もちろんそれはラウジーが思っていた状況ではなかった。

ホルムと交わるまで、ラウジーはMMA史に残る圧倒的な強さを誇っていた。デビュー以来12連勝、その全試合時間はわずか25分36秒だ。ラウジーは、2008年北京五輪銅メダリストの柔道技術を使って対戦相手をマットに投げ捨てると、そこからお得意のアームバーを極めるか、スタンド戦でのパンチやヒザ蹴りでKOを量産した。

そしてラウジーは、彼女の戦い方を分析し尽くしたファイターと出会うこととなる。ホルムはUFC 193でラウジーをひたすら圧倒、ラウジーのトリックを全て回避し、強烈で完璧なハイキックを放ち、衝撃のKO勝ちを収め、試合を終わらせたのだった。

無敵のオーラが音を立てて割れるかのように、敗戦を正面から見つめ直すこともないまま、ラウジーは姿を消した。

「ラウジーは、痛めつけ合う商売をしていることをちゃんと理解しないといけない」と、ロンダ敗戦後にテレビ番組『Conan』に出演して語ったのは、ボクシングのレジェンド、マイク・タイソンだ。「キミがこの商売の女王なのかどうかはどうでもいい。我々はやられることだってあるんだ。彼女は姿を見せないといけない。家から出てきて顔を見せなさい。キミだって人間なんだから」

しかしラウジーが実際に姿を見せたのはそれから数か月後のことだった。タイトルを失ってからほぼ3か月が経った2月、ラウジーはようやく水面から顔を出し、エレン・デジェネレスとの感情的なインタヴューを受けた。ラウジーは、無敗のままUFCベルトを巻いて引退するという夢が一夜にして砕かれたことに大きく失望し、自殺願望と戦っていた時期もあったと告白した。

ラウジーにとってはつらい時だったことは明らかだった。しかしラウジーは、MMAに対する自分の立ち位置を修正することで、未来に一抹の希望を垣間見せ始めてもいた。
Translation by Tetsuya Takahashi

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