ドアーズ『ハートに火をつけて』:知られざる10の事実

JORDAN RUNTAGH | 2017/01/15 17:00

| (Photo by Mark and Colleen Hayward/Getty Images) |


2.デビュー前、ザ・ドアーズはフォード社の社員トレーニング用映像に楽曲を提供していた


1966年初春、コロムビアはザ・ドアーズとのレコード契約の話を突如破棄する(バンド側に抗議の余地はなかった)。マネージメントもなく経済的に困窮していたメンバーたちは、フォード社のカスタマーサービス部署のトレーニング用映像『Love Thy Customer(汝の客を愛せ)』への楽曲提供を目的とした、パルテノン・ピクチャーズでのギグに出演している。

メンバーはロサンゼルスのランパート・スタジオを訪れ、スクリーニングルームの小さなモニターで25分間の映像に目を通しながら、ほぼ即興でそのサウンドトラックを制作した。その時生まれた楽曲の一部は、後に『君を見つめて』『ビルド・ミー・ア・ウーマン』『ザ・ソフト・パレード』等で使用されている。歌は入っていなかったが、モリソンもパーカッションとサウンドエフェクトで参加している。同プロジェクトの報酬はわずか200ドルだった。

『Love Thy Customer』の映像は残っていないと考えられていたが、2002年にUCLAの映像資料保管室で発見され、2014年にリリースされたドアーズの貴重な映像をコンパイルしたDVD『R-Evolution』に収録されている。しかし、そのセッション音源を収めたオリジナルテープは未だに発見されていない。

3.『ブレーク・オン・スルー』は、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドの曲と、レイ・チャールズの『ホワッド・アイ・セイ』にインスパイアされた


「バターフィールドがエレキ路線に転向していなかったら、俺がロックの世界に足を踏み入れることはなかっただろう」ロビー・クリーガーは自身のウェブサイトでそう綴っている。彼はマリオ・エスクデロ、カルロス・モントーヤ、サビカスといったフラメンコギターの達人たちに心酔していたが、その後ブルースの世界にのめり込んでいった。中でも、マイク・ブルームフィールドとエルヴィン・ビショップのツインギターを擁したシカゴのポール・バターフィールド・ブルース・バンドの出会いは、彼のプレイスタイルを大きく変えた。その影響は『ブレーク・オン・スルー』でとりわけ顕著に現れている。

モリソンが作ったデモをバンドでアレンジするにあたり、PBBBの曲のフレーズが自然と浮かんだとクリーガーは話す。「あのリフは『シェイク・ユア・マネー・メーカー』にインスパイアされたんだ。ポール・バターフィールドの曲の中でも、あれは俺のお気に入りのひとつだからね」『Classic Albums: The Doors』で彼はこう語っている。「両者の違いと言えばビートくらいのものかもしれない」バターフィールドの『シェイク・ユア・マネー・メーカー』(オリジナルは1961年にエルモア・ジェームスが発表)は、後にドアーズの作品を手がけるポール・ロスチャイルドがプロデュースを手掛けた彼らのデビュー作(1965年発表)に収録されている。

同ドキュメンタリーで、マンザレクは同曲のベースラインとオルガンソロの一部がレイ・チャールズの『ホワッド・アイ・セイ』にインスパイアされたと明かしている。「俺たちは至るところからアイディアを拝借してたんだ」
Translation by Masaaki Yoshida

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