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ドアーズ『ハートに火をつけて』:知られざる10の事実

JORDAN RUNTAGH | 2017/01/15 17:00

| (Photo by Mark and Colleen Hayward/Getty Images) |


4.バンドがレコーディングした最初の2曲はお蔵入りとなったが、後にその別バージョンがアルバムに収録されている


ブルージーでありながら夢見心地、そして非情なロマンチシズムに満ちた『ムーンライト・ドライヴ』は、ザ・ドアーズを語る上で欠かせない曲だ。UCLAのフィルムスクールのクラスメイト同士だったモリソンとマンザレクが、1965年7月にヴェニス・ビーチで偶然再会したことをきっかけに誕生したドアーズの本質は、同曲に宿る魅惑のコンビネーションに他ならない。

卒業以来顔を合わせていなかったという2人にとって、その思いがけない再会は転機となった。「『よぉ、最近どうしてる?』って声をかけたよ」マンザレクは1988年に、NPRのFresh Airでそう語っている。「彼はこう答えた。『今はデニス・ジェイコブの家の屋上に住み着いてて、毎日LSDをやりながら曲を書いてるんだ』」マンザレクにせがまれ、シャイなモリソンは渋りながらもその場で歌うことに同意する。

「ビーチに腰を下ろした彼は砂浜に手を突っ込み、指の隙間からは砂がこぼれ落ちた。彼は目を閉じ、チェット・ベイカーを思わせるウィスパー・ヴォイスで静かに歌い始めた。その時に彼が歌ったのが『ムーンライト・ドライヴ』だったんだ。『月まで泳いでいこう / 波を乗り越え / この街を包む夜の闇を突き破ろう』そのフレーズを耳にした時は鳥肌が立ったよ」それがザ・ドアーズ誕生の瞬間だった。

同曲はバンドの最初期のライブで頻繁に演奏されていた。同年9月にトランス・ワールド・パシフィック・スタジオでそのデモ・バージョンをレコーディングした際、クリーガーはまだバンドに加入しておらず、マンザレクの兄弟のジムとリックがギターとハーモニカを担当した。その後オリジナルメンバーの4人が集い、サンタモニカのバス用車庫の裏にあった友人宅のガレージで行われたリハーサルで、彼らが最初に演奏した曲は『ムーンライト・ドライヴ』だった。

「演奏し始めた瞬間に、これだって思った。ジャック・ケルアックがいう、名状しがたい超現実的な何かを感じたんだ」2011年にマンザレクはGibson.comでそう語っている。「メンバー全員が確かな手応えを感じていた。『とんでもない何かを手にしちまった、神様が怒るんじゃないか?」そんな風に思うくらい『ムーンライト・ドライヴ』は強烈だった。互いに向き合ってただ頷いてた俺たちは、バンドが秘めた大きな可能性を確信した。ザ・ドアーズはそうやって始まったんだ」

1966年8月、バンドがサンセット・サウンド・スタジオでデビューアルバムのレコーディングに臨んだ際、まず着手したのが『ムーンライト・ドライヴ』だった。「ファーストアルバムの制作はあの曲のレコーディングから始まった」2016年にクリーガーはPeople誌にそう語っている。しかしスタジオの使用に慣れていなかった彼らは、最初のリハーサルで感じた興奮を生み出すことができなかった。「あまりにミステリアスでダーク過ぎた。だからセカンドアルバム(1967年発表の『まぼろしの世界』)の制作時に、俺たちはあの曲をよりワイルドにアレンジしたんだ」同曲のオリジナルバージョン(クリーガーは「ドアーズとして初めてレコーディングした曲」と語っている)は長い間所在が分からなくなっていたが、1997年発表のボックスセットに収録されている。



続いてレコーディングされた『インディアン・サマー』も、デビューアルバムには収録されなかった。「出来に満足してなかったわけじゃないけど、アルバムに収録できる曲数には限りがあるからね」クリーガーはこう話す。「いい出来だけど日の目を見なかったものはたくさんある」1970年発表の『モリソン・ホテル』には、同曲の再録バージョンが収録されている。
Translation by Masaaki Yoshida

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