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ザ・ローリング・ストーンズが語る、ブルーズへの回帰

BRIAN HIATT | 2017/02/11 12:00

| 1970年のザ・ローリング・ストーンズ( Gijsbert Hanekroot/Redferns) |


そして今ストーンズは、ブルーズへの回帰を果たした。アルバム『ブルー&ロンサム』では、リトル・ウォルターやジミー・リード、そしてハウリン・ウルフらバンドのルーツから12曲をピックアップし、スタジオでライヴ・レコーディングした。ジャガー/リチャーズ名義の曲が全く含まれないアルバムは、デビュー・アルバムを含めて初めてのことである。『ブルー&ロンサム』のレコーディングは、わずか3日間で完了した。「自然にできた」とリチャーズは言う。一方でロニー・ウッドは、「俺たちの人生をリサーチする作業」と例えた。

アルバムのリリース方法や時期を決めるのもまたトリッキーな作業である。「"俺たちのやるポップ・ミュージック(ブルーズ)は売れるかな"ってレコード会社に言ってみたんだ」とジャガーは語る。このアルバムは、ストーンズのオリジナル・アルバムに向けたセッションから生まれた。当初は、オリジナル曲のアルバムとブルーズ・アルバムがカップリングで出されるものとジャガーは思っていたという。

『ブルー&ロンサム』以前、最後にストーンズがリリースしたスタジオ・アルバムは2005年の『ア・ビガー・バン』だった。「レコード会社は"もう次はない"って思っていただろう」とトレードマークの唇を歪めてジャガーはニヤリと笑う。「"曲が揃ったからリリースした方がいい"ってレコード会社は言うんだ。彼らは正しい。俺が彼らの立場なら同じことを言っていただろう。"何かができたら世に出そう"ってね」

『ブルー&ロンサム』に関してはジャガーとリチャーズの意見が驚くほど一致している。リチャーズの出版した自叙伝に書かれたいくつかのエピソードが原因で、一時はバンドの50周年を記念する様々なイベントをも吹き飛ばしてしまいそうなほど険悪な雰囲気だった。ジャガーとリチャーズのそんな緊張状態が解けてから4年が経ち、2人はバンドのルーツへの回帰を心から楽しんでいる。外野から見ていると、このプロジェクトは古き良きものを好むリチャーズが主導したように思われ、一方のジャガーは、例えばザ・チェインスモーカーズとのコラボをバンドに勧めているようなイメージをファンは持っている。「いつでもそんなイメージ通りって訳ではない」とバンドのフロントマンは言う。「今回は他のメンバーと同じように俺ものめり込んだのさ」

「このアルバムはミック・ジャガーの最高傑作だ」と、ジャガーの奏でるブルーズハープの一ファンであり続けるリチャーズは言う。このアルバムでもジャガーのハーモニカが冴え渡っている。「彼にしかできないパフォーマンスを楽しんでいる姿を、俺たちはただ眺めていた」。ひと呼吸置いてリチャーズは付け加えた。「もちろん、バンドも悪くなかったさ」

デビュー当時のブルーズ曲のカヴァー・ラッシュが収まった後もストーンズは、ステージ上だけでなくリハーサル中もブルーズをプレイし続けた。200時間にも及んだ『メイン・ストリートのならず者』のセッションでは、新曲を生み出すのに行き詰った雰囲気をリフレッシュしようとブルーズのカヴァーをプレイしまくったため、オリジナル曲のレコーディングが何度も中断した。72年にリリースされた同アルバムには、スリム・ハーポの『シェイク・ユア・ヒップス』とロバート・ジョンソンの『ストップ・ブレイキング・ダウン』の2曲のブルーズ・カヴァー曲が収録された。「寿司屋で出てくるガリみたいなもので、料理全体の口直しさ」と『ブルー&ロンサム』の共同プロデューサーであるドン・ウォズは言う。

68年、バンドはブルーズの枠を超えようとしていた、とジャガーは言い、「スリム・ハーポの本物が聴ける時代に俺たちが『キング・ビー』をやる意味は何だと思う?」と問う。しかし当時もストーンズは、自分たちのルーツであるブルーズの曲をただコピーしていただけではなかった。彼らは根っからのブルーズ心酔者ではなかった。おそらくブライアン・ジョーンズを除いては。バンド初期のライヴで彼らがチャック・ベリーをやる姿を、ブルーズ・ファンたちはバカにした目で見ていた。60年代初期にロンドンで盛り上がりを見せていたジャズ・シーンの真っ只中にいた彼らを、「まるで時代の反逆児のようだった」とリチャーズは表現する。「ヒット・アルバムを抱えて歩く奴なんてクソみたいな扱いだったんだ」


1986年、シカゴ・ブルーズ・フェスティバルでチャック・ベリーと共演するリチャーズ(James Fraher/Michael Ochs Archives/Getty Images)
Translation by Smokva Tokyo

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