ザ・ローリング・ストーンズが語る、ブルーズへの回帰

BRIAN HIATT | 2017/02/11 12:00

| 1970年のザ・ローリング・ストーンズ( Gijsbert Hanekroot/Redferns) |


2016年10月ストーンズは、カリフォルニア州インディオで行われたデザート・トリップ・フェスティバルに参加した。ステージに立ったミック・ジャガーはふと思った。「俺たちがいつも使っているステージより30mは長いな。とても広かったんだ。でも俺はいつもステージ上を走ってるよな。聞いた話では、俺以外誰もステージ上を走り回る奴はいなかったらしい。じゃあいったい何のためにあんな広いステージを作ったんだ?」


2016年10月、カリフォルニア州インディオのステージに立つロン・ウッド、チャーリー・ワッツ、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ(Kevin Winter/Getty Images)

「俺だけのためか?俺は思ったね。"どれだけ長く続ければいいんだ?100mもあるステージでどれだけ長く走り回ればいいんだ?"答えはない。つまり俺の体力が続く限りってことさ。俺が走れなくなったらそこでステージは終了。そういうことだろ?そこでステージを止めろってことだろ?他の誰もその100mのステージを使っていなかったんだよ!」

86年の時点で既にリチャーズはミックに対し、マイクの前にじっと立って歌うよう勧めている。もちろん、そんなアイデアはミックの頭の片隅にもなかった。「それはいい考えだ、キース」と当時のミックは皮肉たっぷりに答えたという。「ありがたいアドバイスだね。ギターを弾くのをやめて、100mのステージを走ってみろって話さ。ステージを走るか座り込むかの他にも選択肢はありそうなもんだけどな。お前もステージ中に少しは動けるだろ!」

砂漠の埃っぽい中でのフェスティバルで喉頭炎を起こしたと不満を漏らすジャガーは当初、"70歳以上の白人英国紳士による懐メロ"フェスティバルのコンセプトにも疑問を投げかけていた。しかし、ロックの大御所が集まったデザート・トリップをバンドは楽しんでいた。特に、ノーベル文学賞の受賞が決まったボブ・ディランとの再会をバンドは喜んだ。ディランは、ウッドの生後6カ月の双子の娘たちのために着ぐるみを贈った。ウッドとワッツはディランに、受賞の気分はどうかと尋ねた。ウッドの記憶ではディランは、「よくわからない。どう感じたらいいんだろう?いい気分だって言えばいいのかな?」と答えたという。「おいおい。凄いことだし、ボブはもらって当然だって皆が思ってるんだぜ」とウッドが言うと、「そうなのか?」とディランは答えた。

リチャーズは、ソーホー地区にあるマネジャーのオフィス内に置かれた茶色いソファにどっかりと腰を下ろしていた。壁には懐かしいストーンズのツアー・ポスターが貼られている。キースの履く真っ赤なナイキは、デザート・トリップでディランが「いいシューズだ」とほめたものだった。それに対してリチャーズは「シューズなんて興味ないくせに」と返した。

リチャーズはグレーのオーバーコートを羽織り、ピッタリしたジーンズに"X線禁止"と書かれたTシャツ。頭にはラスタカラーのヘッドバンドを巻き、手にはいつものマルボロというスタイルだった。大人になっておそらく初めてリチャーズは骨格がわからないほど顔に肉が付き、今はほとんど健康的に見える。2006年、頭部に大怪我を負ったのをきっかけにコカインを止めたという。「もう麻薬はうんざりだった。常習者だったんだ。薬を止めてから、それまで不足していた食事や睡眠をとるようになった」とリチャーズは話す。ウッドは2010年からアルコールを断ち、娘たちが生まれてからはタバコも止めている。リチャーズはタバコまでは止めていない。「また飲み始めているんだ。ハシシやマリファナもいいね。マリファナは合法になったんだって?」
Translation by Smokva Tokyo

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