ザ・ローリング・ストーンズが語る、ブルーズへの回帰

BRIAN HIATT | 2017/02/11 12:00

| 1970年のザ・ローリング・ストーンズ( Gijsbert Hanekroot/Redferns) |


リチャーズとジャガーの仲は平穏そのもののように見える。「奴のことは好きだよ」とリチャーズは言う。「ムカつくことがないって訳じゃないし、向こうもそうだと思う。でも許し合って、忘れちまうことが大事なんだ。89%は仲良く過ごしているよ。でも皆は俺たちがいがみ合っている残りの11%の時間が気になるんだろう?それがなくなったらストーンズの意味がないだろ?喧嘩もしない完璧なマシンだったら、全く面白味がないしね。俺たちふたりがまだ生きてるってことが奇跡さ。ミックの人生に乾杯さ。奴はいつでも俺より5カ月年寄りなんだ!」

自叙伝の中でリチャーズは、もう数十年間もジャガーのドレッシングルームに入ったことがない、と書いている。その状況は今も変わらないが、リチャーズは全く気にしていない。「実際の所、ミックも俺もステージに上がる前は一緒にいたくないだけさ。奴は奴でステージに上る前のルーティーンがあるしね。俺か?俺はパーティで忙しいんだ」とリチャーズは語った。



1975年頃のジャガー。ニューアルバムでは彼のブルーズハープが光る。「もし俺がスタジオでブルーズハープを吹くってわかっていたら何日か家に籠もって練習してきたのに」(Larry Hulst/Michael Ochs Archives/Getty Images)

ストーンズは2017年に向けてツアーの計画を練っている。さらにオリジナル曲のアルバムにも取り掛かりたいと思っている。「ミックには10曲から12曲ぐらい検討している新曲があるんだ」とウッドが明かす。「キースもいろいろなアイディアを持っているみたいだ」。リチャーズによると、15年以上前の未完成の曲がいくつかあるという。

メンバーは間もなく、展覧会『EXHIBITIONISM』のオープニング・セレモニーに出席するためニューヨークを訪れる。この展覧会はストーンズをテーマにした精巧な作りの体験型ポップアップ・ミュージアムで、63年頃にジャガー、リチャーズ、ジョーンズがシェアしていたむさ苦しいアパートメントを再現したものや、リチャーズが『サティスファクション』を吹き込んだカセットレコーダーなども展示される。ニューヨーク滞在中、リチャーズは他のメンバーにレコーディングの開始を提案してみるつもりでいる。しかし先は長いだろう。ジャガーもアルバム制作に前向きだが、「でもいつになるかはわからない。本当に良い完璧なものを作りたいからな」と述べている。

結成60年目に突入しようという勢いのこのロック・バンドは、もはや科学的な骨董品とでも呼べる存在である。どれだけ続けるのだろう?

「皆が思っているように、俺もその答えを知りたいね」とリチャーズは言う。「でもな、たった一週間前に『ブラウン・シュガー』をやってチャーリー・ワッツを振り返り、"今回は上手くいったな"と言ってステージを降りたばかりなんだぜ」

バンドの中の最年長75歳のワッツもまた、体力勝負の仕事に就いている。ウッドによると、彼はドラマーの宿命ともいえる背中の痛みと闘いながらステージに上がっているという。彼なしのストーンズは想像もできないが、そういう可能性もあるだろう。「チャーリー・ワッツは絶対に死なないし、決して引退もしない。俺が許さない」とリチャーズは言う。

ジャガーはインタヴューで、自分自身の死についてよく語る。しかし、「あなたは永遠に生きると誰もが思っている」と伝えると、ジャガーは即座にこう言うだろう。「そんなつもりはない」

リチャーズは自分の生き方をよく心得ている。そして医者たちが彼の肝臓をしっかり検査したがっていることもわかっている。「俺は派手にくたばりたいんだ。ステージの上でね」

ローリングストーン日本版 2017年WINTER号掲載




Translation by Smokva Tokyo

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