U2とR.E.M.の奇跡のコラボが実現した、ビル・クリントン大統領就任式を振り返る

By ANDY GREENE
1993年1月ビル・クリントンが大統領に就任する際にコラボレーションが実現したU2とR.E.M.(Photo by Kevin Winter/Getty Images.)
この場限りのスーパー・グループ"オートマチック・ベイビー"で『ワン』を演奏、ドン・ヘンリーは怒って姿を消した。

ドナルド・トランプが就任式のパフォーマーを押さえるのに躍起なのは周知の事実だ。トランプが大統領選に出馬する前から出演が決まっていたブルース・スプリングスティーンのカヴァー・バンドもニュージャージー州での大統領就任パーティの出演を取りやめ、ひどい状況になっている。最終的には3ドアーズ・ダウン、リー・グリーンウッド、トビー・キース、オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』で準優勝したジャッキー・エヴァンコに引き受けてもらわざるを得ないようだ。「ちょっとやけくそみたいな感じで電話がかかってきたよ。"誰か演奏したい者はいないか"ってね」と音楽マネージャーのケン・レヴィタンはローリングストーン誌に語っている。「今の時点では、大統領就任式で演奏したいと思っている者は誰もいないけどね」。

1993年1月にビル・クリントンが大統領に就任したときとは大違いだ。その週はワシントンD.C.のあちこちで大規模なコンサートが行われ、しまいにはクリントンのキャンペーンのテーマ曲として使用された『ドント・ストップ』を演奏するために、フリートウッド・マックが再結成までした。MTVは独自の就任パーティを設営し、呼び物にしたのはドン・ヘンリー、アン・ヴォーグ、ボーイズIIメン、10,000 マニアックス、そしてU2とR.E.M.の、マイケル・スタイプ、マイク・ミルズ、アダム・クレイトン、ラリー・マレンJr. をフィーチャーしたその日限りの即席バンドだった。U2とR.E.M.のバンドは、彼らの最新のアルバムのタイトルが『オートマチック・フォー・ザ・ピープル』と『アクトン・ベイビー』だったため、自らを"オートマチック・ベイビー"と呼んだ。そのとき演奏された『ワン』の様子は次頁のビデオで視聴できる。

ビル・フラナガンの傑作著書『U2: At The End of the World』によれば、ドン・ヘンリーは、イベントの主催者がオートマチック・ベイビーにショーのトリを務めさせたがっていたのを聞いて顔をしかめたという。「(MTVの共同設立者トム・)フレストンはヘンリーの所に行き、こう言った」とフラナガンは書いている。「"いいかい、ドン、君は自分のセットをすべて演る、ショーを演りきって、そしてその喝采が終わった後に、あの連中が登場して『ワン』をその日の締めくくりとして歌うんだ"と」。ヘンリーは納得しなかった。「ヘンリーは顔色を変え、ショックを受けた様子だった」とフラナガンは書いている。「彼はフレストンにショーをやめるぞと警告した。そして踵を返し、楽屋に入ってドアを閉めてしまった。フレストンはドアの前に取り残され、ノックをすべきかどうか迷っていた。すると誰かがフレストンのところにやってきて、携帯電話を渡し、電話だと言った。フレストンが電話に出ると、ヘンリーの敏腕マネージャー、アーヴィング・エイゾフの声が響いた。"君は大きな過ちを犯した、ドンは降りる"と」。
Translation by Kise Imai

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