『ドクター・ストレンジ』:カンバーバッチのヒーローものはドラッグ・カルチャーの匂い

監督:スコット・デリクソン | 出演:ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムスほか / 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
By Yasuo Murao
(C) 2016MARVEL

本作がユニークなのはスピリチュアルな世界観だ。魔術師達は現実そっくりの異空間"ミラー次元"で闘い、時には幽体離脱して精神体となって闘う。その神秘的な世界をどう見せるかが本作最大の見せ場。ロンドンやNYの高層ビル街が、突然、横倒しになったり、波打ったり、折り畳まれたりと、万華鏡のごとく変貌する。そんな『インセプション』を彷彿させるトリッキーな映像を3Dで浴びているうちに頭はクラクラ。怪しげなオリエンタリズムやサイケデリックな映像など、映画には60年代ドラッグ・カルチャーの匂いが漂っている。


(C) 2016MARVEL

また、ストーリー展開に新鮮味はないものの、カンバーバッチ、スゥイントン、ミケルセンという、個性派俳優を揃えたヒーロー映画とは思えないキャスティングは異色。カンバーバッジとミケルセンの魔法対決なんてほかでは見られないだろうし、坊主頭のティルダは40代以上の観客には『西遊記』の夏目雅子を思い出させるはず。さらに、地球の破滅の危機が迫っているのにストレンジが「俺は医師だから人(敵)は殺したくない」とワガママを言ったりと、タイトルどおりにストレンジな味わいをちりばめた本作は、打ち上げ花火のような賑やかさのなかに、B級映画のいかがわしさやチープさを潜ませている。



『ドクター・ストレンジ』

監督:スコット・デリクソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムスほか
1月27日(金)より、全国公開中
Marvel-japan.jp/Dr-str

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