娼婦、楽園、植民地:空族が描くアジアの裏経済『バンコクナイツ』

By RollingStone Japan 編集部
娼婦、楽園、植民地:空族が描くアジアの裏経済『バンコクナイツ』。(C) Bangkok Nites Partners 2016
映像制作集団・空族の富田克也と相澤虎之助が、構想10年をかけて完成させた野心作『バンコクナイツ』。

構想10年、空族が満を持して完成させた最新作『バンコクナイツ』。前作『サウダーヂ』では地方都市のリアルを赤裸々に、本作ではタイを舞台に"娼婦・楽園・植民地"というテーマを軸に、人間の欲望が渦巻く世界を描き出す。

物語はタイ・バンコクの日本人専門歓楽街、「カラオケ」と呼ばれるホステスクラブがひしめくタニヤ通りで幕を開ける。"タニヤ嬢"のラックと元自衛隊員のオザワが、バンコクから北部のイサーン地方、そしてラオスへと向かうロードムービーをベースに、さまざまな人々の思惑が交錯する群像劇となっている。

カメラが入り込むことは困難と思われていた歓楽街タニヤをはじめ、総距離4000kmを超える長期間撮影に挑んだ空族。『国道20号線』『サウダーヂ』に続く三部作の最終章で、空族が捉えたアジアの現在とは?

—ついに三部作の最終章となりました。まずは、空族の成り立ちからお話しいただけますか?

富田:空族は、結成して15年くらい経ちます。当時は今みたいにデジタルビデオで撮って映画館ですぐかけられるというような状況ではなかったですからね。まずは映画を作りたかったんでしょうね。

劇場でかけてもらえる可能性なんか期待もしていなかったし。とにかく作りたいものを作ろうと。そしたら人に見せたくなって、誰もやってくれないし自分たちで配給し始めたんですよ。そうこうしているうちに上映もデジタル中心になり、僕たちもやりやすくなってきたんです。

相澤とは20代前半に出会いました。お互い自主制作で映画を作っていたんですが、初対面は相澤の『花物語バビロン』の自主上映会でしたね。相澤のライフワークとも言える、"アジア裏経済三部作"です。

相澤:僕は90年代、バックパッカーでアジア中を旅していたんです。当時は"セカンド・サマー・オブ・ラブ"(80年代後半にイギリスで起きたダンスミュージックのムーブメント。その名称は60年代後半のヒッピー・ムーブメント「サマー・オブ・ラブ」に由来する)なんて言われていた時期で、パンガン島(毎月満月の夜に開かれるビーチパーティー「フルムーンパーティー」で有名)のレイヴパーティとか、世界中で流行ってたんですよ。


(C) Bangkok Nites Partners 2016

アジアを旅していると、街のトゥクトゥク(三輪タクシー)運転手に、必ず聞かれる質問が三つあるんです。女はいるか、ドラッグをやるか、極めつけは銃を撃つか。どの街に行っても、この三つの質問をやたら聞かれるんですよ。欧米人たちが派手にパーティーやっている傍ら、アジアにはこういう裏経済があるんだなと知ったわけです。そこで8ミリフィルムを持って、ロードムービー風に作った映画が『花物語バビロン』。タイトルの花は、ケシの花の意味です。
Interview by Sahoko Yamazaki (RSJ)

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