<監督賞>デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』メル・ギブソン『ハクソー・リッジ』バリー・ジェンキンス『ムーンライト』ケネス・ロナーガン『マンチェスター・バイ・ザ・シー』ドゥニ・ビルヌーブ『メッセージ』一番の驚きは、アカデミーがメル・ギブソンのノミネートを許したことだろう。酒癖の悪いギブソンは、酔った勢いで反ユダヤ主義を主張する暴言をして以来、世界中から非難を浴びてきた。ギブソンは『ハクソー・リッジ』でオスカーの恩寵を得たが、同じような慈悲は昨年のサンダンス映画祭で話題をさらった『バース・オブ・ネイション』のネイト・パーカーには与えられなかった。怒れるメル・ギブソン、マッド・メル(マッド・マックス)は行き着くところまでまで行けるのか? いや、全く期待できないだろう。
本命:デイミアン・チャゼル番狂わせ:バリー・ジェンキンス
『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督。(C) 写真:AP/アフロ
<脚本賞>『ラ・ラ・ランド』デイミアン・チャゼル『ロブスター』ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリプ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』ケネス・ロナーガン『20センチュリー・ウーマン』マイク・ミルズ『最後の追跡』テイラー・シェリダン『ロブスター』と『20センチュリー・ウーマン』は作品賞にノミネートしていないので、この2作品に期待するのはやめておこう。『ボーダーライン』(15)の脚本で高評価を集めた『最後の追跡』のテイラー・シェリダンは有力候補に違いないが、オスカーにはまだ早いだろう。
本命:デイミアン・チャゼル番狂わせ:ケネス・ロナーガン『20センチュリー・ウーマン』(C) 2016 MODERN PEOPLE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.<脚色賞>『メッセージ』エリック・ハイセラー『Fences』オーガスト・ウィルソン『Hidden Figures』セオドア・メルフィアリソン・シュローダー『LION ライオン 25年目のただいま』ルーク・デイビス『ムーンライト』バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー批評的にも興行的にも成功を収めた『Hidden Figures』が番狂わせを起こす可能性がある、と予測するオッズ屋もいる。しかしその確率は極めて低いだろう。
本命:バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー番狂わせ:オーガスト・ウィルソン
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