小室哲哉連載|TK Future Lab Vol.3 テレビと音楽の未来

By RollingStone Japan 編集部
Photo by TAWARA

TK:うん、それは文字だけで表現できないのと同じで、その時の喜怒哀楽の表情だったり喋り方というのは、確かにテレビでああいうオンタイムで見ながら同時にソーシャルも動いてる方が意味があるし、面白いかもしれないですね。ただ、じつは一番そこに必要なのは、そういうのを上手く聞き出せる人と、上手く話せる人なんですよ。その2人がいないとなかなか難しい。かといって全てのアーティストにそれが当てはまるかというと、というか全ての音楽番組に当てはまるかというと、そうでもない。話を聞き出せる人、それからそれを上手く解説できる人、これを両立できる人が必要で、そういう意味で言うと、マツコさんとかは非常に珍しいタイプの人かもしれないね。

ジェイ:小室さんご自身でAbemaTVをやられて、その辺はどういうふうにお考えですか。

TK:回を重ねるごとに意見を言うようになってきましたね。こうした方がいいんじゃないか、ああした方がいいんじゃないかっていうのは、オンタイムでソーシャルが動いているから一言言った瞬間に視聴者がそれに対しての答えだったり同意や意見、異論を言うわけで、それが少しでもいい方向に進んだ方がいいので。あのコーナーはあまり反応が無かった、みたいなことが如実に出てくるわけ。そうしたら、やっぱりあのコーナーはやめた方がいいんじゃないかっていう意見をついつい言いたくなってくる。レスが少ないとか、トレンドに入らないとか。結局のところ、ゲストの人がそこまで気を遣わなくても作り手の人が上手くトレンドに入るような構成にしていけばいいだけなんだけど。だから、今は非常に作り手側の手腕が問われる時代だと思いますよ。

ジェイ:これは今日すごく聞きたかったお話なんですけど、次の時代のテレビ文化ってどういうふうに進化していくと思われますか?

TK:ディスカバリーとかナショジオとかヒストリーとか、そこら辺の好きなものは録って観てみているんだけど、やっぱりああいう番組でも行き詰まり感はそろそろあって(笑)。もう一周しちゃったかなと。漫画と一緒で、ウィークリーだったりデイリーだったりすると、どうしてもマンネリ化しがちだし、そんなに毎週革新的なことなんて出せるわけないし。例えばワンクールならワンクール余裕を持って作らせてあげられるチームと、それからデイリーで今のソーシャルみたいな、その瞬間のトレンド、何にみんなが注目をしているかということにだけ特化したチームと、完全に二分化するのがいいと思います。

ジェイ:なるほど。そうなると業界自体が変わっていきそうですね。

TK:うん。あと、スポンサーも同じように3カ月で見ないで1年、2年っていう長い目で見るパターンと、1時間、2時間の感覚で見るパターンで分かれてもいいと思うんですよね。

ジェイ:サッカーの年間のスポンサーをやるのと、一試合の中継のスポンサーをやるのとっていう考え方みたいなことですね。

TK:非常にいい例えだと思います。もしかしたら前半、後半で分けてもいいかもしれない。うちは後半だけで、とか。

ジェイ:このチームは前半確実に点取るから、とか(笑)。

TK:必ずここは後半追いつくチームなんで、とかね(笑)。これはめちゃくちゃいい加減なマーケティングなんだけど、よく年末テレビ見ましたよとか、出てましたよねって言われるものって、全国ネットで10%超えてるんですよ。下手したら13、15、瞬間に17とか行ったりする。っていうことは、オンタイムで1千万人以上が見ているわけですよ。やっぱりそれは未だにネットでは追いつかなくて、僕がやってるAbemaTVとかでは、最高でも50万人、80万人。平均だと15万、20万人とかだったりするので。そういうところで地上波の威力というか、スポンサーがそれだけお金を投下する意義っていうのは未だに確実にあるなと思いますね。

ジョー横溝(以下 ジョー):それっていつか逆転すると思いますか?

TK:うーん、日本単体では逆転すると思わないです。例えばアメリカとかで逆転することがあったとしても、北米っていうエリアでだと思います。決してアメリカ合衆国だけの話ではなかったりするので。だから“エリア”。日本もアジアっていうエリアで考えたらあり得るかもしれない。

ジョー:あと、テレビが持ってる一つの役割って公共性ってことだと思うんですよ。ジャーナリストの方も言っていたんですが、アメリカでネットだけを見るようになった地域って、何が起きたかというと投票率が極端に下がったり同じ人がずーっと再選するような地域になってしまって、テレビも見ようよ、新聞も見た方がいいじゃない? と慌ててパブリックメディアを作り出したそうなんです。それまではオルタナティヴなものだけでいいよと言っていたのが、公共性が無くなっちゃうとバランス感覚がよくないからと。今の時代におけるテレビの役割って、瞬間的な数字は取れないけど世界規模で考えなきゃいけないことやこの地域に住んでるから考えなきゃいけないことのための公共性を養うことだと思うんです。だとしたら、じっくりドラマとかドキュメンタリーをやることで、その役割が欠如しちゃうと大変なことになっちゃうんじゃないかなと思うんですよね。

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