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『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が期せずして大ヒットした理由

David Fear | 2017/12/13 17:11

| 10月27日、Netflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン2の世界同時配信が開始された |


凶暴なデモドッグや、あらゆる方法でウィルを襲うシャドウ・モンスターが、テレビドラマとして今年最も恐怖を駆り立てた場面の一つであることは間違いない。しかし、シーズン2の全エピソードを見終えた数日後、筆者の印象に最も強く残っていたのは同作のヒューマンドラマとしての側面だった。自立を主張する子どもと両親のやり取りを思わせる、超能力を発揮するイレブンとホッパー保安官の激しい口論。ルーカスとダスティンが新キャラクターのマックスに抱く恋心と、失恋の痛み。ナンシーとジョナサンのモーテルでの会話、そして2人の関係の行方。デイカー・モンゴメリーが演じる大麻中毒のビリーが、非情な父親に向ける激しくも無力な怒り。スティーブからダスティンに向けた、モテる髪型についてのアドバイス。取り憑かれたウィルが、自分の身に起こりつつある変化に抱く恐怖(ウィルのシーンの数々は、成長ホルモンによる体の変化に対する子供の困惑を恐怖感として描いた、PG-13指定のホラームービーのようだ)。誰もが身に覚えのある出来事の数々は、視聴者の感情に訴えてみせる。

また『ストレンジャー・シングス 未知の世界:シーズン2』について語る上で、エピソード7に登場するシカゴのモヒカンのキャラクターたちに触れないわけにはいかないだろう。
 
同シリーズにおいて最も意見が分かれるであろうそのエピソードについて、ここで深く掘り下げるするつもりはない。レーガン時代を象徴するような、ボロ切れをまとったキャラクターたちによるバンドがジョークのつもりなのか、それとも80年代のメディアを賑わした張りぼてのパンクロッカーたちの風刺なのか、その議論もここでは不要だ(饒舌なブロガーたちは既にそのキャラクターをメッタ斬りにしているが)。イレブンが同じく超能力を持つ人物とその非行仲間に会いに行くエピソードについて特筆すべき点はただ一つ、それはミリー・ボビー・ブラウンの目だ。この若き女優の演技が既に惜しみない賞賛を集め、シリーズにおける見所の一つとなっていることは疑いないが、彼女の強烈な視線は物語のダークな部分の象徴となっている。彼女が経験した苦難を知る人物と会話を交わすシーン、理解していた以上の力を自分が秘めていることに気づいた瞬間の表情、そして目元を真っ黒にメイクアップした彼女がそのアイデンティティーを脱ぎ捨てる場面等、今シーズンにおいてもイレブンは圧倒的な存在感を放っている。


『ストレンジャー・シングス 未知の世界:シーズン2』のワンシーン、エル役のミリー・ボビー・ブラウン(Netflix)

ともすれば汚点となりかねない、大量のプロセスチーズが登場するこの特殊なエピソードにおいて、不安と喜びに満ち、反抗心を剥き出しにするこの10代の少女はどこまでもリアルだ。同エピソードのフィナーレにおける、ジョン・ヒューズの映画を思わせる学校のウインター・ダンスで多くのカップルが生まれるシーンは、『ストレンジャー・シングス 未知の世界:シーズン2』が大人の階段を上り始めた少年たちの成長を描いた物語であり、アップサイド・ダウンをめぐるアドベンチャー要素はあくまで脇筋に過ぎないということを象徴している。本記事のタイトルに「期せずして」という表現を用いたのは、ちょっとした皮肉に過ぎない。ダファー・ブラザーズとのそのチームは、ノスタルジックな要素を売りにしていた本シリーズが、今シーズンではよりドラマチックなストーリーを必要とすると感じていたのかもしれない。いずれにせよ、シーズン2と1の間に接点があるとすれば、かつて『E.T.』のアウトテイクに登場する架空のキャラクターのように捉えられていた登場人物たちが、テレビの前で胸を躍らせている少年少女たちとなんら変わらない、普遍的で共感できる存在に変化したという点だろう。彼らが思春期の真っ只中にいることを考えれば、シーズン3ではその傾向がより明確になるのかもしれない。大人の階段とは子どもたちにとって、『ストレンジャー・シングス』に満ちた、未知の世界への入り口なのだ。
Translated by Masaaki Yoshida

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