スター・ウォーズ、レイ役のデイジーが語る『最後のジェダイ』

ー 『エピソード9』の撮影半ばでコリン・トレヴォロウが降板し、後任が決まるまでの間は不安もあったと思います。

全部ひっくるめて、『スター・ウォーズ』の撮影は素晴らしい経験だったわ。監督の交代劇についても、私はキャシーのことを信頼してた。出演者やスタッフが力を出し切れる環境を作るために、彼女は必要なことをしたんだと思う。もちろんコリンの降板は残念だったけれど、「あなたたちは何も心配せず、自分の役割に集中すること。思うところがあれば遠慮なく口にするように」なんて言ってくれる周囲の人々に囲まれて、頼もしく感じていたわ。

ー 『スター・ウォーズ』の夢を見ることはありますか?

寝ている間に見る夢のことよね? 見たことないわね。私の夢っていつも支離滅裂だから。マークが出てきた夢もあれば、キャリーが出てきたこともあるだろうし、ハリソンが登場する夢もあったんじゃないかな。私は睡眠障害を抱えてるの。夜驚症で、真夜中に飛び起きて叫んだりするのよ。

ー 他の作品への出演オファーが絶えないそうですが、あなたはタイプキャストの問題をうまく回避しているように見えます。

私のエージェントはすごいやり手で、彼女はあらゆる問題に対処してくれるの。『エピソード8』を撮り終えたときは、「どうしよう、今後の予定が全然入ってない」みたいな状況だった。『混沌の叫び』は脚本を読んですごく気に入ってたけど、撮影はずっと先だったから。私がロサンゼルスにいた時に彼女が連絡してきて、「『オリエント急行殺人事件』のオーディションを受けてみないか」っていうから、私は迷わずイエスって答えた。でも移動続きでヘトヘトだったから、やっぱりキャンセルしようと思ったの。ケネス・ブラナーの前でいい加減な演技は見せられないし。結局彼女に説得されてオーディションを受けたんだけど、今でもお粗末なパフォーマンスだったって思ってるのよね。

ー レイのイメージを払拭しなければいけないというプレッシャーを感じたことはありますか?

ないわ、むしろいろんな可能性を与えてくれたと感じているもの。現場で会う人の多くは、私の『スター・ウォーズ』での演技をとても評価してくれてる。でも彼らは同じものを求めているわけではないから。レイを演じていなければ今の自分はいないことは確かだけど、そのイメージのせいで不当に扱われたことはないと思う。そういうことに囚われない人々と仕事ができていることにはすごく感謝してるわ。制作側はキャラクターのイメージにあった女性を求めていて、私がハマることもあればそうでない場合もある。脚本を読んでキャラクターの魅力が不十分だと判断すれば、私はオファーを断るし、そういう立場にいられることはとても幸運だと思ってる。自分の考えをはっきりと示すことで、相手も作品をより磨こうとするかもしれないし。大切なのはそれが大役かどうかじゃなくて、そのキャラクターがリアルな魅力を持っているかどうかなの。

ー 女性のキャラクターに「たくましい」や「ワル」という表現が使われる場合、男性キャラクターのそれとはイメージが異なりますよね。

確かにレイのたくましさってすごく重要視されてると思うんだけど、私には少し不思議に思えるのよね。レイはいろんなことを経験するけど、ごく普通の女性だと思う。(彼女について)私が好きなのは、はっきりとした倫理観を持っているところ。彼女は孤独な人生を送ってきたにもかかわらず、時には周囲の人々のために体を張って戦う。ちょっと鬱陶しいBB-8を守ろうと、2人の男をやっつけたりね。でも私の知ってる人たちなら、きっとみんな同じことをすると思うわ。誰かが一人で歩いているところを複数の人間が襲おうとしていたら、あなただってもちろん助けようとするでしょ? それって人として当然だと思うの。

ー 新たな三部作が制作されることになった場合、再びレイを演じるつもりはありますか?

ないわ。この仕事を受けたとき、私は何が待っているのか把握してなかった。脚本にも目を通してなかったくらいだから。それでもイエスと答えたのは、素晴らしい人々と仕事ができると思ったから。今となっては、思っていた以上に自分はラッキーだったと感じているの。自分の居場所はここなんだって思えるような作品の一部になれたんだもの。去年の撮影が始まった時、自分が居るべき場所に戻ってきたって感じたわ。

ー それはイエスという意味なのでは?

答えはノーよ。もちろん次回作への参加には心から興奮しているわ、同意した3作への出演を完遂するっていう意味でもね。だからこそ、この3作で私の役目はおしまい。エピソード9のストーリーは知らないけど、タイミング的にもそれがちょうどいいと感じるの。

ー 30年後も気持ちは変わらないと思いますか?

どうかしらね。私は次の30年間で世界が滅びかねないって思ってるんだけど、もし30年後に人々が無数の地下シェルターで生活しているような状況になっていなかったら、やってもいいかもね。でもやっぱりわからないな。この作品を通して素晴らしい経験をさせてもらったし、多くの人々を笑顔にできたと思う。それはやっぱりこの作品を作った人々が、誰よりも『スター・ウォーズ』を愛しているからだと思うの。

ー 30年後なら可能性はありそうですね。

その時私は……55歳か。ダメダメ、そんな先のことを考えてる場合じゃないわ。2週間後のことだって分かってないんだから。

Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE