ローリングストーン誌が選ぶ「2017年ベスト・メタル・アルバム」20枚

Rolling Stone | 2018/01/01 00:48

| ローリングストーン誌が選ぶ「2017年ベスト・メタル・アルバム」20枚 |


6位 ポールベアラー『ハートレス』
Pallbearer
これまでも標準的なドゥーム・バンドと一線を画してきたアーカンソーのポールベアラーは、3枚目のフルアルバムで自身のズブズブのルーツからさらに逸脱している。チラチラと地味に光るギター、切ないボーカル、プログレ風のうなだれた空気感、クラシック・ロック的な聞かせどころなどを、しっかりと習得してきたようだ。そのサウンドと同様に、アルバム全体のお楽しみポイントとなるのは、ゆっくりと開くように広がっていく長尺で壮大な7曲の楽曲だ。全曲とも素敵なメランコリアで覆われている。ギターたちは鳴り響きながら互いに絡み合い、ヴォーカルは純粋なハーモニーの中でオーバーラップし、アレンジは盛衰し、最後には途方もない大きさへと膨れ上がる。それどころか、内蔵を刺激する分厚い歪みコードは曲を安定させるためではなく、スパイス的に入れた感じすらする。

5位 エルダー『Reflections Of A Floating World』
Elder
4枚目のLPで、マサチューセッツのバンド、エルダーは荘厳なロック・コンポジションという消え行くアートを継承するマイスターだと証明した。ジャンボサイズといえる長さの楽曲、高尚な歌詞、現代版ロジャー・ディーン風のアルバムアート。彼らの最大のアピールポイントは、半世紀に渡る優れたリフの数々から玄人ならではの‟いいとこ取り“をしている点だ。それも、ニューロシス系譜の構造的なアート・ドゥームや、ジェントル・ジャイアントみたいにオブスキュアなプログレ勢のギークなプロト・マスロック風味を計算して入れるだけでなく、オールマン・ブラザーズのように味のあるメロディーを開花させ、ホークウインド的な非現実的鼓動まで入れ込んでいる。ペーシングの達人でギタリストのニコラス・ディソルヴォが歌うソウルフルなヴォーカル・フックが、11分という尺長の1曲目「Sanctuary」を今年最もキャッチーなメタルソングにしたというあり得ない状況まで生んでいる。さらに、クラウトロック風のミニマルなインスト曲「Sonntag」で演奏に没頭していても、このバンドはアルバム全体を通して人々の興味を刺激し続ける。 この2017年において、見開きジャケット時代の雄大な音楽を奏でるエルダーは向かうところ敵なしだ。


4位 マストドン『エンペラー・オブ・サンド』
Mastodon

躍進し続けるマストドンは『リヴァイアサン』や『クラック・ザ・スカイ』というヒットアルバムを作ってしまったばかりに、今では音楽的に微調整する余地しか残されていない。ガンに触発された語り口という野心的な枠組みは別として、バンドの7枚目のLPは新たな音楽の始まりではなく、前作『ワン・モア・ラウンド・ザ・サン』、前々作『ザ・ハンター』の延長線上にある。とはいえ、彼らを世界で最も好かれるヘヴィ・バンドたらしめる要素はすべて、確実にこのアルバムにも入っている。並外れてダイナミックなプログレ・メタル曲(「サルタンズ・カース」「エンシェント・キングダム」)から、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ的フックのあるハードロック曲(ドラマーのブラン・デイラーがしなやかな歌声を披露する「ショウ・ユアセルフ」)まで。最後は複数のパートで構成された堂々たる曲(「ジャガー・ゴッド」)で幕を閉じる。

3位 サークル『Terminal』
Circle

フィンランドのカルトヒーロー、サークルは「多作」と呼ぶには作品の数が多すぎるし(1991年の結成以来アルバムを30枚以上リリースしている)、「折衷主義」という表現では彼らの音楽を形容しきれない。サザン・ロード移籍第一弾の今作で、カタカタ音を立てるクラウトロック・グルーヴからストゥージズ・スタイルのブルドーザー系リフ、ピンク・フロイド風の奇妙な間奏曲、70年代プログレ・メタル、クイーン風の壮麗ポップまで、彼らは予告なしにコロコロ変化する。しかし、そのすべてが流動的でオーガニックだ。特に「Rakkautta Al Dente」「Sick Child」「Terminal」での3人のギタリストが厚い音のレイヤーを重ねて攻撃するように入ってくるところでは感動すら覚える。彼らは自分たちの好きなようにやっているのだが、サークルという宇宙船には何度も乗り込みたい中毒性の高いスリルがある。

2位 コンヴァージ『The Dusk In Us』
Converge
結成当初を上回るくらい、奥ゆかしく成熟していくハードコア・バンドは非常に稀だ。コンヴァージの5年ぶりの新作で通算9枚目となる『The Dusk In Us』は、全盛期だった90年代の獰猛さを強化させてはいるが、そこにこれまで以上のストーリー性が込められている。ギタリストのカート・バルーは、フロントマンのジェイコブ・バノンの声帯を切り刻むような激しい声に応えるように、メタル的凶暴性と攻撃的な空気感を併せ持つギターで空間を埋め尽くす。「I Can Tell You About Pain」では、バノンが「俺の苦痛がどんなものか、お前はわかっちゃいねえ」と悲痛な声で歌うと、バルーと他のメンバーたちはフィードバックが染み込んだパイル・ドライバーをお見舞いする。一方、ストレートなゴスロック曲「Thousands Of Miles Between Us」では、バノンが死や自分から離れた心に耐える様子を囁くように歌い、バンドが一丸となって演奏する。彼らは余計な力が抜けた大人のバンドになった。

1位 コード・オレンジ『Forever』
Code Orange
地獄から来たピッツバーグ出身のハードコア・バンドから届けられた最先端のヘヴィーネスを持った3枚目のフルレングスLPは、天下のメタル・レーベル、ロードランナー移籍第一弾だ。ドラマー兼ヴォーカリストのジャミ・モーガンのナイン・インチ・ネイルズ愛が溢れた『Forever』は、攻撃性と同量のアトモスフィアも備えている。いつも通りに無慈悲で精密な暴力性がテーマで、最近のWWEイベントでのアリスター・ブラックの登場場面で使われた不穏な音を上手く利用しているが、「The Mud」などで聞こえてくる不吉なアンビエント・パッセージは、このアルバムに流れる分厚い恐怖のオーラを強調するばかりだ。しかし、最も魅惑的な瞬間をもたらすのはギタリストのリーバ・メイヤーズ。彼女が歌うメロディックで薄気味悪いヴォーカル曲「Bleeding In The Blur」「Dream2」が暴力性と攻撃性の間で鳴り響く。

Translated by Miki Nakayama / Edit by Toshiya Oguma

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