AC/DCブライアン・ジョンソンが語るマルコム・ヤング

DAVID BROWNE | 2017/12/31 10:30

| AC/DC 1976 (Photo by Martyn Goddard/Corbis via Getty Images) |


「マルコムはミスを犯したことがない。彼は全てに注意を払ってるんだ」

そうやってオーディションを受けたんだけどまさか無名の存在だった俺が受かる訳がないって思ってた。会場でも「今から2曲歌った後、自分の国に帰るんだ」って言ったんだ。それでも、友達にはAC/DCと歌ったんだぜって自慢できたから、それでよかったと思っていたんだ。その1ヶ月後マル(マルコム)が電話を掛けて来て「こっちに来ないか?」って言ったんだ。

「何しに行くんだ?」って聞いたら、

「わかってるだろ。アルバムを作るんだよ。」

俺は続けて「ってことは俺をバンドに入れてくれるのか?」って訊くと彼は「ああ、もちろんだぜ。」ってな感じだ。そして俺はAC/DCに加入する為にオーストラリアに向かったんだ。マルコムは彼の両親を俺に紹介してくれた。その後マルコムはニューキャッスルまで俺の両親に会いに来てくれて「僕がマルコムでこういうバンドをやってます」って挨拶をしに来てくれたんだよ。彼はそういう風に凄く優しい男でもあったんだ。

その後すぐバハマに行って『バック・イン・ブラック』のアルバムのレコーディングをしたんだけど、バンドに加入してすぐアルバムを作るっていう緊張もあって、俺はかなりイライラしていたんだ。レコーディングの初日にマルコムは俺にカセットテープとノートを渡して「これから一発目のラフなレコーディングをするんだけど、お前がどんな歌詞を書くのか知りたいから、何か書いてくれ。」って言ったんだ。俺は「タイトルは決まってるのか?」って聞いたんだ。「あるよ。『ユー・ショック・ミー・オール・ナイト・ロング』がタイトルだ。」俺は「何でそんなに長いタイトルなんだよ。」って言ってしまった。そんな状態の俺に「いいか。お前はゆっくり時間かけていいんだ。時間は一日中あるんだからな。」って言ってくれたんだ。マルコムは「明日までに詞を書け。」なんて言う事はなかった。「椅子に座って、落ち着いてアイデアが浮かぶのを待てばいいんだよ。」とも言ってくれた。マルコムはそういう男だった。その時は幸運な事に1曲分の歌詞を書く事ができた。こんな俺を選んでくれたマルコムをがっかりさせたくなかったからね。

マルコムはミスを犯した事がない。彼は全てに注意を払ってるんだ。ステージ上では照明とか何か気に入らない事があった場合は、二度と起こらないように徹底させていたんだ。バハマで『バック・イン・ブラック』の製作中の出来事なんだけど、レコーディングした曲を聞き返している時に、俺は「イエーイ。これがマルコムのリフだぜ!」てな事しか考えてなかくて、フィル(・ラッド)のドラムもいつも通りタイトだった。でも突然マルが「何かノイズが入ってる。」って言い出すんだ。俺達は皆「ノイズなんか入ってるかよ?何言ってんだ。」って言ったんだけど、彼は「何かのノイズが入ってるからもう1回再生してくれ」って言うんだよ。だからもう一度再生して聴き返してみたんだけど俺達には何も聞こえないんだ。

次に俺達はトラックを1つずつミュートしていってどこにノイズが入ってるか確認していった。最後に残ったキックの音だけを聞いてみると、何とクリック音が聞こえたんだ。「なんだこの音は?」ってなってメンバーがキックの中に詰めていた黒い毛布を取り出したら、その中から小さなカニが出て来たんだよ。どうやら紛れ込んでたカニが2日間もそこにいたみたいなんだ。フィルが人生の鬱憤を晴らすように強烈にドラムを叩いている間、そのカニはドラムの中でくつろいでやがったんだよ。俺達はマルコムを見て「どうやってそんな音が聞こえたんだ!」って驚いたよ。信じられないんだけどマルコムはそういう奴だったんだ。

彼が81年か82年かに「ネス湖に行こうぜ。ネッシーがいるかどうか見にいかないとな」ってマルコムが言い出した。俺達は湖のすぐ横のホテルを取って夕飯を済ませて、少しドラッグを取ったんだ。その後湖の周りを散歩してる時に、マルコムが何か持っていて「何持ってるんだ?」って聞いたらそれは花火だった。「何に使うんだよ。」って聞いたら「これをぶっ放したらネッシーどもの注意を引けるだろ。」ってさ。オレも「それはクソみたいにいいアイデアだ。」って思って、俺達は靴もはいたままで湖の中まで歩いて行ったんだよ。全てが水に濡れて、足下を取られてで転んだ時、俺達は何かを見たと思ったんだよね。ハッキリとは分からなかったけどね。

マルコムはロックンロールに衝撃を与えたんだ。ロックンロールのケツを蹴り上げたんだよ。よく色んな奴がマルに「どうやってその音を出したんだ?」って聞いたんだけど彼は「ただギターを弾いてるるだけだ」としか言わなかった。奴らに説明したくなかったか、マル自身もどう弾いているか説明できなかったかどっちかだね。『レット・イット・ビー・ロック(邦題: ロック魂)』をライブで演る時によくマルコムの横に立ったんだけど、マルコムは1曲でギターピックを2つ使い潰していたんだ。彼は最も精密なギター・プレイヤーだったんだよ。
Translated by Hiroshi Takakura

RECOMMENDED

おすすめの記事