マーク・ハミルが明かすルーク・スカイウォーカーの実像

ー『最後のジェダイ』の冒頭で、あなたは洞窟の中にいることになっていたはずでした。また『エピソード4』においても、ビッグス・ダークライターとのシーンがカットされたことは広く知られています。

MH フードを被った僕が洞窟内でライトセーバーを手にしている、というのが当初の設定だった。洞窟の入り口にはC-3POとR2-D2の姿も見えるし、ファンにとっては感慨深いシーンのはずだったんだけどね。でも僕がジャバの宮殿に現れる場面とか、そういう物語の核心になるシーンではないからね。『エピソード4』においても同じことだよ。大切なのはルークがスター・デストロイヤーから逃れたドロイドたちと出会って、トシ・ステーションに向かうっていうくだりだからね。

(ビッグスとのシーンについて)僕が気に入ってたのは、ルークは必ずしも人気者じゃないっていう事実を示していたことなんだ。ルークは仲間たちから馬鹿にされたり、日焼けしすぎだなんて言われてコケにされてたんだよ。それに、あれは帝国側についた旧友に会いたいと願うルークの気持ちの強さを表す場面でもあったんだ。彼の中立的なスタンスを示していて、僕はすごく気に入ってたんだけどね。ビッグスが悪役っていう設定はすごくいいと思ってるんだけど、ファンにもそのことを知ってほしいね。ビッグスは結局デス・スターとの争いで命を落とすけど、あれは第二次世界大戦に対する遠回しな非難と捉えることもできると思う。「ジョニーがやられた!」っていうあのシーンと同じようにね。親友が殺されるのを目の当たりにしたルークは、射撃装置のスイッチを切る。あの場面には手が加えられていて、「フォースを使え!」っていうあれは、実はボイスオーバーなんだよ。

RJ 原案にはなかったってこと?

MH ボイスオーバーのアイデアはもともとあったのかもしれないけど、ビッグス・ダークライターの死を目の当たりにした瞬間、ルークは冷水を顔に浴びたような顔つきになる。「これは僕が一人で決着をつけるべきだ」そう決意して、射撃装置のスイッチを切って一人で突っ込んでいく。それが彼の出した結論というわけだ。オーディエンスに感情移入させるあの演出は、やっぱりジョージの手腕だと思うけどね。

ーあなたとの間に意見の相違があったことで、『最後のジェダイ』におけるルークの設定は当初から変更されたとライアンは話していました。

RJ 互いに納得のいく形にできたよ。話し合いで解決したんだ。

MH そのとおりだ。ライアンは独裁的になることなく、キャストの考えにもちゃんと耳を傾けてくれた。意見の食い違いを話し合いによって解決する、それがあるべきプロセスなんだ。互いに納得のいく形に仕上げられて嬉しく思ってるよ。

ールークを再び演じることについて、感傷的になりましたか?

MH そうだね。ある意味では僕のキャリアのハイライトといえる役だから、やっぱりデリケートにはなるよ。つきまとうルークのイメージに頭を悩ませたこともあったけど、ひどく憤りを覚えるようなことはなかった。僕は何かに集中すると、周囲が見えなくなるようなところもあるしね。ブロードウェイで週に8公演やるときなんかは、それ以外のことなんてまったく考えられないんだ。どんな環境にいても、僕は自分のやることを好きでいたい。ボイスオーバーに関しても、むしろ感心したくらいさ。僕がセリフを飛ばしちゃっても、あるいは死んでしまっても、彼らがその穴を埋めてくれるわけだからさ。オーソン・ウェルズだろうがエドモンド・グウェンだろうが、彼らはどんな声でも再現してみせる。まさに超一流のプロフェッショナルさ。彼らが「ボイスオーバー役」としてしかクレジットされないのを不憫に思うこともあるよ。彼らはれっきとした俳優だからね。だから僕は彼らのパフォーマンスには、心底満足しているんだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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