最初、オリオーダンは内気なパフォーマーで、観客に背を向けて歌うことすらあった。「大きな動きはゼロだったよ」とホーガンが続けた。「でも、それが観客の心に響いたんだよ」。まだ駆け出しの新人バンドにもかかわらず、クランベリーズはメジャーレーベルによる90年代オルタナティヴ・ロックの新人バンド争奪戦に巻き込まれて行く。1993年のデビュー・アルバム『ドリームス』(原題:Everybody Else Is Doing, So Why Can’t We?)は、揺らめくギターとオリオーダンの芳醇さの中に不気味さを抱えた独特な声の相乗効果が発揮されて、「リンガー」や「ドリームス」という大ヒット曲を生み出した。このアルバムと1994年の2枚目『ノー・ニード・トゥ・アーギュ』は合計で数百万枚を売り上げ、MTVのアンプラグドまで撮影するに至った。