高価アイテムからポップアップ・ストアまで、音楽物販が儲かる理由

この新たな収入源が確立するにしたがって、アーティスト自身が日常業務の一環として物販に関わるようになっている。テイラー・スウィフトとモリッシーは2017年秋にポップアップ・ストアを開店した。イギー・ポップはBillabongの自身のコレクションで販売するボードショーツの新ラインのカラーを提案した。最近ではビヨンセとジェレッド・レトがSidestepというアプリに投資している。これはコンサート会場で販売されるグッズをオンラインで事前購入して、開演前に会場で受け取るシステムの物販アプリだ。ライセンシング企業Epic Rightsのジェスパー・ポールセンは「人によっては列に並んで買うのが好きな方もいますが、私自身はライブ前に列に並ぶなんて興ざめです」と述べた。

カニエ・ウェストが2016年に行ったポップアップ・ストア・イベントでは、「たった2日間で100万ドル(約1億円)を売り上げた」というウェスト自身の発言を疑問視する業界関係者もいるが、実質的な利益の膨大さに疑問の余地はない。ドレイクのポップアップ・イベントでは総販売数が10万単位になった。パニック!アット・ザ・ディスコのマネージャー、ボブ・マクリンによると、直近のツアーでのバンドの収益の30%が物販だったらしい。マンヘッド社のコーネルが説明する。「CD売り上げが脇に押しやられて以来、みんなが『これからどうやって売り上げを立てりゃあいいんだよ?』となった」


フォール・アウト・ボーイのポップアップ・ショップ(Photo by Elliott Ingham)

物販の世界が成功に湧いている現在、その周辺には第二の市場が既に出現している。ポップアップ・ストアで購入したグッズに高額を付けてオンラインで転売するファンが出始めているのだ。「彼らは元値が25ドル(約2800円)のTシャツに200ドル以上(約2万1000円以上)も上乗せして売っています」とソニーのThread Shop物販担当フランシス・ウォンが言う。「ア・トライブ・コールド・クエストのポップアップ・ストア終了後、お店で使った袋を25ドル(約2800円)で転売している人がいて、大笑いしてしまいました」


Translated by Miki Nakayama

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