ヒップホップの基本の「き」が分かるドキュメンタリー映画、8つの教訓とは?

7.「今のラップはクソだ!」:パート2

テック・ナインもクラックの「あの頃は良かった」という意見に同調する。「俺たちは長いキャリアの中で、書いたライムをライブで再現することにずっとこだわってきた」。彼はそう主張する。「だが今の若いヤツらは違う。そういうことを教えてくれる人間が、きっと周りにいなかったんだろうな。『そんなラップをどうやってステージで再現する気だ? ひたすら言葉を並べ立てて、一体どこで息継ぎするつもりだ?』。そういうアドバイスをしてくれる人間がさ」

8. ゴーストライティングはアリかナシか?

『Word is Bond』のハイライトの一つは、終盤におけるゴーストライティングを巡る議論の場面だろう。場合によっては許されるべきか、それともリリシストとして論外の選択肢なのか? フラットブッシュ・ゾンビーズのミーチー・ダーコは、ゴーストライティングの定義をはっきりとさせる必要があると話す。「どこまでならオッケーなんだ?」。彼は疑問を投げかけてみせる。「ずっと一緒にやってきてる仲間にアドバイスをもらって、俺がラインの最後の1小節を書き換えたとしたら、俺にはゴーストライターがいるってことになっちまうのか? フェイクだって言われるのか?」

ジェイダキス曰く、リリックを提供してもらったことを本人が認めさえすれば、ゴーストライティングは容認されるべきだという(その場合はもはやゴーストライティングとは言えないのかもしれないが)。「誰かにライムを書いてもらったのなら、それを公にするべきだ。そうすればフェアだとみなされる」。彼はそう話す。「その事実を伏せたままにするのはルール違反だ。ヒップホップのカルチャーに対する冒涜だ」。だがスタイルス・Pはこう本音を漏らす。「もしゴーストライティングの仕事が来たら、俺は受けるけどな」

Translated by Masaaki Yoshida

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