第90回アカデミー賞授賞式総括:「ジェンダーの平等」がスピーチのメインテーマ

Kory Grow | 2018/03/06 11:40

| 左から、サム・ロックウェル(助演男優賞)、フランシス・マクドーマンド(主演女優賞)、アリソン・ジャネイ(助演女優賞)、ゲイリー・オールドマン(主演男優賞)Photo by David Crotty/Patrick McMullan via Getty Images |


今回の受賞スピーチの多くが映画業界における女性の地位や、世界における女性の地位をテーマにしたものだった。これは2017年にハーヴェイ・ワインスタインのスキャンダルが発覚して以来、国内で交わされる会話の内容が変わったことを意味している。授賞式の放送中、ワインスタインの名前が出たのは数える程度だった。その代わり、プレゼンターも受賞者も映画業界で働くことの利点を述べていた。アシュレイ・ジャッド、アナベラ・シオラ、サルマ・ハエックは並んで登場し、Time’s Upムーブメントの支持を表明した後で1本のモンタージュを紹介した。これは女性の役割と社会的に無視された人々をフィーチャーしたもので、ミラ・ソルヴィーノ、リー・ダニエルズ、サラ・シルヴァーマン、ディー・リースなどのインタビューも含まれていた。

また、ガーウィクが若い頃に目指していたロールモデルを検証して「大好きだった映画を監督したのはすべて男性でした。男性であることが監督の必須条件に思えました」と述べた。『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』のクメイル・ナンジアニは「僕のお気に入りの映画の幾つかはストレートの白人男が作ったストレートの白人男の物語です。今ではストレートの白人男は僕が主演する映画を見て、そこに自分を重ねています。難しいことではないのです」と述べて、ガーウィクの残した空気感を受け継いだ形となった。

これ以外でも、マーヤ・ルドルフとティファニー・ハディッシュが#OscarSoWhiteというハッシュタグが生まれて以来、状況がどう変わったかを述べて「(ハッシュタグがなくなることは)心配しなくてもいいわよ。これからもたくさんの白人が参入してくるから」と、冗談で締めくくった。また、『リメンバー・ミー』の監督リー・アンクリッチは、メキシコの人々の雷鳴のような拍手喝采に感謝を述べ、同作品から感じ取って欲しいメッセージを説明した。

「この『リメンバー・ミー』という作品では、すべての子供たちが彼らと同じような見方をし、同じように話し、同じように生きるキャラクターが登場する映画を観ながら成長できる世界に一歩踏み出そうとしました。世間から無視されている人々には自分も同じ仲間だという意識が必要です。表現の仕方が非常に重要なのです」と。そしてアカデミー賞のプロデューサーたちも、ステージ上の表現方法に多様性を持たせるように努力したことが見受けられ、今回は主演男優賞や監督賞だけでなく、長年男性がプレゼンターを務めた主演女優賞にも女性プレゼンターを起用していた。また、トランスジェンダーであるダニエラ・ヴェガがプレゼンターとして初登場して(彼女が主演した『ナチュラルウーマン』は最優秀外国語映画賞を受賞)、『君の名前で僕を呼んで』の主題歌「ミステリー・オブ・ラヴ」をパフォーマンスするスフィアン・スティーヴンスを紹介した。
今回の授賞式には、2017年の“フェイ・ダナウェイが最優秀作品賞を間違えて発表してトップニュースになる”に匹敵する大失態を、何としても防ぎたいという決意があっただろう。しかし授賞式全体が必要以上に安全志向だった感じも否めない。ジミー・キンメルが最初に言った「最短の受賞メッセージを言った人にジェットスキーを与える」という馬鹿げた冗談や、観客を驚かそうと通りの向こうにある劇場にスターたちを連れて登場したことなど、確かに物議は醸さないだろう(ちなみにジェットスキーを得たのは『ファントム・スレッド』の衣装デザイナーのマーク・ブリッジスで、彼のスピーチは36秒の「サンキュー」だった)。今回の授賞式も約4時間の長丁場となったが、ホストのセリフはすべて注意深く練られたもので、辛辣な言葉も無礼な言葉もなかった。

「私たちは一つの事例を示さないといけない」と、キンメルはオープニングのトークで述べた。「仕事場でのセクシャル・ハラスメントを自分たちの手で止めることができれば、女性は仕事場以外でのハラスメントに対峙するだけでよくなるだろう」と。
Translated by Miki Nakayama

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