プリンスの死、刑事事件として立件せずに捜査を終了

2016年4月21日ミネソタ州チャナッセンにあるプリンスの自宅兼スタジオで享年57歳で逝去したプリンス (Photo by Neil Lupin/Redferns)

米現地時間4月19日、「プリンスの死の事件性を立証するに足りる証拠がない」とミネソタ州カーヴァー郡検察局が発表した。

米現地時間4月19日、カーヴァー郡検察局のマーク・メッツが、プリンスの死を刑事事件として立件せずに捜査を終了すると発表した。

「この2年間、法執行機関はプリンスの死を、忍耐強く、高範囲に渡って全面的に捜査してきた」と、記者会見でメッツが述べた。この捜査によって、プリンスが危険な強力合成麻酔薬フェンタニルが含有された偽のバイコディン錠を服用して死に至ったことが判明した。しかし、偽のバイコディン錠の入手経路を特定できなかったため、メッツは「プリンスの死の事件性を立証するに足りる証拠がない」との結論に達した。

プリンスが急死したのは2016年4月21日、享年57歳。ミネソタ州チャナッセンにあるプリンスの自宅兼スタジオ、ペイズリー・パークからの110番通報を受けて郡保安官代理が急行したところ、エレベーターの中で倒れているプリンスを発見した。しかし、医療スタッフによる蘇生の甲斐なく、プリンスは二度と息を吹き返さなかった。

死の2ヶ月後、米中西部検死局がプリンスの死因はフェンタニルの偶発的な過剰摂取という報告書を提出した。それに続く薬物検査の結果、プリンスが亡くなった時点での血液中のフェンタニル量は致死量を遥かに超えていたことが判明。

そのため、メッツはフェンタニルの入手経路を捜査していた。プリンスの死を受けて、ペイズリー・パークの捜査令状が複数枚出され、徹底した家宅捜索を行なうと、秘密裏にストックされていた規制薬物が発見されたのである。その幾つかはビタミン剤の容器に入っていた。さらに、これらの規制薬物がプリンスの名前で処方された履歴が一切見つからなかった。

プリンスの担当医マイケル・シュレンバーグと、プリンスのボディガード兼アシスタントのカーク・ジョンソンが、死の数週間前にプリンスに頼まれて規制薬物の入手を手伝ったと認めたが、二人ともフェンタニルの入手は否定した。ジョンソンの依頼を受けてシュレンバーグ医師は鎮痛剤パーコセットを15錠処方した。このパーコセットはプリンスの持病である背部痛を和らげるもので、ジョンソン名義で処方した理由はプリンスの身元を隠すためだったと、同医師は証言している。

Translated by Miki Nakayama

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE