辛口批評家のピーター・トラヴァースが、映画『デッドプール2』を絶賛する理由

Peter Travers | 2018/05/17 12:45

| 『デッドプール2』2018年6月1日より、全国ロードショー (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved |

ローリングストーン誌の映画批評家、ピーター・トラヴァースが映画『デッドプール2』をレビュー。ジョークもアクションもより過激になった続編について語ります。※ネタバレ無し

2016年に公開された第1作『デッドプール』は、あまりにもおふざけが過ぎるというので批評家やアメコミ研究家からさんざんこき下ろされた。ところが、5800万ドルという低予算製作は全世界で7億8300万ドルもの興行収入をあげ、R指定映画としては史上最大のヒットを記録した。そうとくれば、当然『デッドプール2』はジョークもアクションも盛りだくさん、超能力を持ったフリークたちもわんさか出てくるし、予算もアップ!……といっても、言うほど多くもないようだが。

でも、本当に大丈夫だろうか?  第1作はさほど期待もされず、一部のツウ向け作品だったし、ただれて顔が変形した末期がんのスーパーヒーローを演じるのはライアン・レイノルズ。前作のシュールな雰囲気はそのままに、前作を超える興行収入をあげ、かつ、それなりにまともな続編を作るのは一苦労だ。

ご心配なく。たしかにストーリーやスケールの肥大化や、シリーズものにありがちな観客への媚びも否めないが、それでも『デッドプール2』は、アメコミ界の異端児としての立ち位置を維持している。もちろん、これは誉め言葉。デッドプールことウェイド・ウィルソンは、永遠に口の減らないバッドボーイのまま。元特殊部隊の傭兵は相変わらず俺様主義だし、悪者につい軽口をたたく性格も健在。だが、茶番の中にも常に悲劇を背負っており、超人的な回復能力を手にしながらも(ガンよ、さようなら!)、彼の感情は嘘偽りなく、痛みを感じている。

カナダ人俳優ライアン・レイノルズは、2009年の『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』で本人は真剣だったかもしれないが、スーパーヒーローとしてはイケてなかった。だが、まさにそれゆえに、デッドプールはレイノルズの胸にひそむモンスターであり、分身的キャラなのだ。この癪に障る暗殺者を、彼ほど見事に演じられる俳優は他にいない。

前作から数年後。ウェイドと恋人のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)は、そろそろ結婚をと考え始める。「あなたのムスコがほしいのよ」とウインクするヴァネッサ。そこへ大きくドアが開き、全てが変わる。アヴェンジャーズでもX-MENでもないどっちつかずのマーベルの異色キャラには、家庭を持つなど無理な相談なのだ。ちなみにクレジットロールでは、監督のデビッド・リーチ(第1作の監督ティム・ミラーに変わって、抜擢された)は「『ジョン・ウィック』で、犬を殺した男」と呼ばれている。『アトミックブロンド』でもアクションの振り付けのセンスを見せつけた彼は、今回も期待を裏切らない。レイノルズとともに脚本を手掛けたレット・リースとポール・ワーニックも、畳みかけるジョークの山にストーリーが埋もれてしまわないよう、細心の注意を払った。
Translated by Akiko Kato

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