全米1位がほぼ確実なBTS新作、ソングライターとプロデューサーが制作の裏側を明かす

彼らが細部にこだわることに驚きは感じない。BTSのアルバムはどれも複雑なのだ。「彼らはポップ・アクト以上のことをしたい意志があって、音楽的な野心も強い」と、アイルランド人シンガー・ソングライターのオーラ・ガートランドが語った。彼女は「134340」のメロディを手伝っている。この曲のインストゥルメンタル部分にはフルートのパッセージと70年代ファンク風の大胆で素早いベースが入っていて、「あのレベルの演奏はポップス曲では珍しいし、BTSは本当に大胆に音楽を作っている」と、ガーランドが説明した。

彼らの大胆さはコラボレーターたちをも大胆にさせる。アオキを例にとってみよう。彼は自身がプロデュースした『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』収録曲「The Truth Untold」でBTSらしくない曲を仕上げている。「全く予期していなかった曲を作った」と、アオキが満足そうに言った。「みんな『Mic Drop』を見ると『あれがスティーヴ・アオキの十八番だ』と思うわけだ。でもこの曲はバラッドで、みんなが期待する“ドロップ”は最後に出てくるだけ」と。

ともすれば過激主義に向かいやすいグループにとって、「The Truth Untold」は驚きの展開であり、彼らの生の声が聴こえる曲と言える。また、彼らが録音した楽曲の中で最もシンプルな曲でもあろう。「BTSはメロディ部分が強くなってきている」と、トリッキー・スチュワートが言う。彼は2016年以降、BTSに音楽を提供し続けているが、新作『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』には1曲も収録されていない。「メロディが強化されたおかげで、アメリカのマーケットで受け入れられやすくなっている」と分析する。

もちろん、BTSを好きになるアメリカのリスナーは増えていると言えるだろう。5月20日、BTSはビルボード・ミュージック・アワードでTop Social Artist賞を2年連続で受賞し、ステージで新曲「FAKE LOVE」を披露した。この受賞はBTSにとって最も印象深い成果であり、「FAKE LOVE」はリル・ウージー・ヴァートの「XO Tour Llif3」が好きな人、2000年代半ばのダッシュボード・コンフェッショナルが好きな人、ラジオのトップ40で甘いメロディの曲を探す人など、幅広い人々にアピールしたようだった。

5月18日以来、アメリカ国内では「FAKE LOVE」のミュージック・ビデオがYouTubeで最も再生される動画トップ10に入っており、Spotifyで再生回数の多いトップ30に入っている。この曲はBTSメンバーのRM、Big Hit創業者“Hitman” Bang、BTSの長年のプロデューサーPdoggの3人の共作だ。この曲を聴く限り、BTSがアメリカのポップス界を制覇するためにアメリカのソングライターを雇う必要などないのではないか、とすら思えてくる。



Translated by Miki Nakayama

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