彼らの大胆さはコラボレーターたちをも大胆にさせる。アオキを例にとってみよう。彼は自身がプロデュースした『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』収録曲「The Truth Untold」でBTSらしくない曲を仕上げている。「全く予期していなかった曲を作った」と、アオキが満足そうに言った。「みんな『Mic Drop』を見ると『あれがスティーヴ・アオキの十八番だ』と思うわけだ。でもこの曲はバラッドで、みんなが期待する“ドロップ”は最後に出てくるだけ」と。
ともすれば過激主義に向かいやすいグループにとって、「The Truth Untold」は驚きの展開であり、彼らの生の声が聴こえる曲と言える。また、彼らが録音した楽曲の中で最もシンプルな曲でもあろう。「BTSはメロディ部分が強くなってきている」と、トリッキー・スチュワートが言う。彼は2016年以降、BTSに音楽を提供し続けているが、新作『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』には1曲も収録されていない。「メロディが強化されたおかげで、アメリカのマーケットで受け入れられやすくなっている」と分析する。
もちろん、BTSを好きになるアメリカのリスナーは増えていると言えるだろう。5月20日、BTSはビルボード・ミュージック・アワードでTop Social Artist賞を2年連続で受賞し、ステージで新曲「FAKE LOVE」を披露した。この受賞はBTSにとって最も印象深い成果であり、「FAKE LOVE」はリル・ウージー・ヴァートの「XO Tour Llif3」が好きな人、2000年代半ばのダッシュボード・コンフェッショナルが好きな人、ラジオのトップ40で甘いメロディの曲を探す人など、幅広い人々にアピールしたようだった。