エレファントカシマシ宮本浩次「4人で報われる…そう思える時期がようやく来た」

―さて、全国ツアーがあって夏フェスがありますけど、夏以降、31年目のエレカシを宮本さん的にはどんな風にしていきたいですか?

宮本:今朝4人でいたんですよ。で、俺がインタビューの取材受けている間、みんな別のところに座ってたんだけど、誰も一言も口聞いてなくてじっとしてて、しかも成ちゃん(ベース・高緑成治)なんか居眠りしてて……それを見て、相当かっこいいなぁと思ったんです。手前味噌になっちゃうけど、この4人でしか出せない空気が絶対にあって、それはやっぱりいいなぁって。4人でいるとみんな緊張してて、その空気感が一番出るのがライブなんだけど、この4人でやるステージや、この4人でしか絶対出せないものをシングルにしたりとか、そういうことが、ついに考えの俎上に乗るところまで30周年を経て来たんじゃないかなって。村山潤とヒラマミキオの入っているエレカシは最高だし、さいたまスーパーアリーナの時のようなストリングスの金原千恵子さんやホーンの山本拓夫さんが入っている18人の派手なエレファントカシマシだって十分なエレファントカシマシなんだけど、この4人で音を出したら面白いんじゃないかなって今朝メンバーを見て思いましたね。


Photo by Motoki Adachi

―今までは思ってなかった?

宮本:METROCKというフェスで「男は行く」をアンコールに演奏したんです。なんの練習もしないで急に。そしたらよかったんですよ。だから、さっきから話題に出ているアルバムの最後の2曲がヒントですよね。「いつもの顔で」と「オレは生きる」は明らかに4人の音が基本だし、「男は行く」をMETROCKでやったら思いの外破壊力があって今までは最高のアレンジャーとして、土方隆行さん、佐久間正英さん、YANAGIMAN、蔦谷好位置さん、亀田誠治さん、今の村山潤さんがいて、さらに今はヒラマミキオさんというギターも加わった最高のメンツでやってるんだけど、もう一歩進んで4人のエレファントカシマシも、6人あるいは18人といったエレカシと4人のエレカシの二刀流なら十分売り物になると思うんです。「悲しみの果て」や「今宵の月のように」の成功例あるからどうしてもそういうサウンドに行きがちだし、いきなり荒削りの「奴隷天国」は売れなかったわけだし(笑)。でも30年かけたら「奴隷天国」もかっこ良くなる。「俺たちの明日」と併存している「奴隷天国」は十分ポップソングスとして届いているわけです。そういうバランスを取ることによって、今回のアルバムに色んな曲が入ってるのと同じように、4人のエレファントカシマシがついに来たかなって思いますね。

―なるほど。

宮本:契約が切れるのだけは絶対に嫌なんですよ。契約切れてあんな悲しい思いだけはしたくない。そうするとどうしてもギリギリのところで売り上げを考えちゃうんです。

―それはそうだと思います

宮本:あんな悲しい思いはないですから。契約が切れたら、バンド辞めちゃうやつも出てくる勢いで…エレカシも危ないところだったんで。でも、新しい事務所が決まって給料20万円くれるっていったら、みんな戻ってきたんです(笑)。

―(笑)。確か、契約が切れている間、メンバーはバイトしてたんですよね?

宮本:みんなバイトしててバンド辞めるって顔してるんだよなぁ。リハーサルにも来ないし。やべぇなってふと見ると、俺とトミ(ドラム・冨永義之)の2人になっちゃってたんで(笑)。まあでもそれも当然だし。ましてやこの年で収入がなくなったらおっかないですからね。

―次はバンドとしても報われますね。

宮本:そうだといいですね。4人で報われる……そう思える時期がようやく来たってことだと思うんです。30周年はドーンと成功したので、次は原点回帰だと思うし、その萌芽がアルバムの最後の2曲にある感じですね。



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