プッシー・ライオット、W杯決勝のピッチ乱入で伝えたかったメッセージの中身

W杯決勝戦の後半でピッチに乱入したプッシー・ライオットのメンバー(Photo by Ian MacNicol/Getty Images)

15日に開催されたFIFAワールドカップ決勝戦でピッチに乱入したロシアのパンク・バンド、プッシー・ライオット。「警察官、試合に飛び入り」と題した抗議行動でロシアで収監中の政治犯の釈放と、より活発な政治活動を要求した。

15日、モスクワで開催されたW杯フランス対クロアチア戦。共同プレスの報道によれば、試合開始から51分経過したところで、旧式のロシア警察のユニフォームに身を包んだプッシー・ライオットの4人が試合を妨害。この騒動で試合は1分間中断した。4人のうち1人の女性メンバーは、フランス・チームのフォワード、キリアン・エムバペとハイタッチ。他のメンバーはクロアチア選手に取り押さえられた。



ほどなく、プッシー・ライオットはSNSで犯行声明を発表。今回の抗議パフォーマンスを「警察官、試合に飛び入り」と呼んだ。

「数分前、プッシー・ライオットの4人のメンバーが、FIFAワールドカップ決勝戦でパフォーマンスを行った。題して『警察官、試合に飛び入り』」と、グループは声明文で発表した。この日は、ロシアの詩人ドミトリー・プリゴフの11年目の命日にあたる。プリゴフは現在のロシア社会における警察官の姿を、理想国家のメッセンジャーとして描いた人物。声明は、ウクライナの映画監督オレグ・センツォフが収監中の刑務所で実行しているハンガーストライキにも触れ、政府に抗議した。

抗議文に続き、プッシー・ライオットは「要求リスト」を掲載。その中には、ロシアにおけるより自由な政治競争、現在収監中の政治活動家らの釈放、デモ行進中の不法逮捕の中止、また「世俗的な警察官」に対しては、「“いいね”の罪で拘束しないこと」を要求した。


プッシー・ライオットの犯行声明文の全文訳は以下の通り:

・プッシー・ライオットがFIFAワールドカップ決勝に登場!「警察官、試合に出場する」

今日はロシアの偉大なる詩人、ドミトリー・プリゴフの11年目の命日にあたる。プリゴフは現代のロシア社会における警察官の姿を、理想国家のメッセンジャーとして描いた。

プリゴフによれば、理想的な警察官は神と以心伝心である一方、世俗的な警察官はデモ行進を解散させようと待ち構える。理想的な警察官は野の花にやさしく触れ、ロシアのサッカーチームが勝利を収めるのを温かく見守るが、世俗的な警察官はオレグ・センツォフのハンガーストライキに無関心だ。理想的な警察官は国民のよき手本であるが、世俗的な警察官は人々を傷つける。

理想的な警察官は赤子の眠りを守ろうとするが、世俗的な警察官は政治活動家らを起訴し、「リポスト」または「いいね」の罪で彼らを拘束する。

理想的な警察官はワールドカップという素晴らしき祭典を実行するが、世俗的な警察官はお祭り騒ぎを恐れる。理想的な警察官はつねに試合のルールに従おうと努めるが、世俗的な警察官はルールのことなどお構いなしに、試合に割り込んでくる。

FIFAワールドカップは、私たちに、偉大なロシアにおいて理想的な警察官が存在しうることを示唆した。だが同時に、世俗的な警察官はルール無用の試合に乱入し、私たちの世界を分断する。

世俗的な警察官が試合に割り込むとき、我々は以下の事柄を要求する:
1. 全ての政治犯を解放すること
2. 「いいね」の罪で拘束しないこと
3. デモ行進中に不法に逮捕しないこと
4. 国内での自由な政治競争を容認すること
5. 罪状をでっちあげ、理由なく収監しないこと
6. 世俗的な警察官を、理想的な警察官に変えること

Translated by Akiko Kato

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