YouTubeへの動画アップロードへの規制が加速化

コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)のエンターテイメント部門でキーノートスピーチを披露するユーチューブのグローバル・コンテンツ・パートナーシップ担当副社長ロバート・キンクル

動画ストリーミングの巨人、YouTubeが、欧州委員会の票決により加速する新たな著作権法に基づく厳しい法的責任に直面している。

かつては、何でもかんでもあらゆるものをホスティングしていることで有名になったYouTube。しかしこの動画ストリーミング・プラットフォームのユーザーたちは間もなく、アップされているコンテンツが激減していることに気づくだろう。欧州では著作権に関する法律の改定が検討され、物議を醸している。『著作権指令(Copyright Directive)』と呼ばれるデジタル時代に対応した著作権法の改正案が、2018年9月12日、欧州議会で承認された。ユーザー主体で作り上げられてきたインターネット上のプラットフォームを減退させる可能性のある法律が成立するまで、あと最終投票1回を残すのみとなっている。

著作権指令は、欧州におけるさまざまな業界にまたがるパブリッシングやライセンス関連事項を規制しているが、特に注目すべきは第13条。YouTube、Google、Facebook等のソーシャルメディア・プラットフォームに対し、ユーザーがアップロードしたデータの著作権違反の責任を負わせる内容だ。第13条により、プラットフォームを提供する企業は、ユーザーによる著作権違反を防止し、さらに動画が公開される前に著作権侵害を確実に発見するような措置を講じなければならない。アーティストやレコード・レーベル等の著作権所有者にとっては、(より多くの収入につながる)素晴らしいニュースだ。「欧州のクリエイティブ業界にとって良い兆しだ」と、第13条を推進した欧州議会のアクセル・フォス議員は投票後に述べている。

もっと悲観的な声もある。当初より第13条に反対する人たちは、ウェブの世界で独自のカルチャーとして成長してきたミームやリミックスなど、ユーザー主体の創作活動を損なう可能性がある、と主張してきた。1分間に400時間分もの動画コンテンツがアップロードされているYouTubeにとって、規制強化やコンテンツ監視の厳密化は好ましいものではないはずだ。「欧州における著作権に関する議論の結果には失望した。我々はインターネット上のクリエイティブな経済活動への影響を懸念している」と、YouTubeのプロダクト担当役員ニール・モーハンはツイートした。YouTubeもGoogleも公式な見解は出していない。

2018年9月12日、欧州議会では438票対226票で著作権指令の改正案が可決された。最終的には、2019年1月に行われる各加盟国による最終投票を経る必要がある。


Translated by Smokva Tokyo

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