アルバム『狂気(原題:The Dark Side of the Moon)』においてライトは、『タイム(原題:Time)』で共同リード・ヴォーカルを務め、『アス・アンド・ゼム(原題:Us and Them)』を作曲した。しかし、この伝説のコンセプト・アルバムにおけるライトの重要な仕事は、エモーショナルなインタールード『虚空のスキャット』だろう。同曲はライトによる作品で、2005年までは彼が単独でクレジットされていた。後に同曲の共同制作者としてクレジットされるようになったクレア・トリーによる、歌詞のないソウルフルな高音の歌声は、曲に欠かせない要素となっている。ライトは後に、「僕がスタジオでコードをいくつか弾いていたら、たぶんデイヴかロジャーが“ふーん、いい感じじゃん。アルバムで使えそうだ”と言ったんだ。」と謙遜した。ウォーターズは同曲に対してもう少し感情を込めて語る。「素晴らしいコード進行だ。僕の個人的な意見では、『虚空のスキャット』と『アス・アンド・ゼム』のピアノ・パートはリックの最高傑作だ。どちらもとても美しい」