ヒップホップ界の最強軍団、ウータン・クランのリアル・ストーリーを描いた番組がスタート

2014年当時のウータン・クラン( Photo by Jonathan Weiner)

『ウータン・クラン:アメリカン・サーガ』と題した10話シリーズがHuluにて登場する。 NYのスタテン島出身の伝説のラップグループの結成秘話のリアルストーリーだ。

ウータン・クランが、今度はストリーミングでカンフーに宣戦布告する。Huluは木曜日、『ウータン・クラン:アメリカン・サーガ』のシリーズ放送を発注したことを明らかにした。これは全10話のシリーズもので、90年代のニューヨークを舞台に、ボビー・デジタル(通称RZA)がスタテンアイランドでグループを結成するいきさつを追いかける。脚本・制作は、映画『SuperFly(原題)』『ウォッチメン』を手掛けたアレックス・テスとRZA。原作はすでに出版済みの2冊の書籍『The Wu-Tang Manual(原題)』『Tao of Wu(原題)』。

「Hulu、Imagineとの契約締結で、ウータンワールドに眠る壮大な物語を展開でき、とても嬉しい。ウータンは音楽を通じて、つねに人々にエンターテインメントとインスピレーションを与えるべく努めてきた」と、RZAは声明のなかでコメントした。「ウータンのサーガを10話にわたって継続できる、またとない機会に、俺たちの影響力に満ちたスタイルを何倍にも拡大していきたい。亡きオール・ダーティ・バスタード(ODB)の言葉がよみがえる。『ウータンは子供たちの味方だ』」

マーケティング上の理由から、物語のあらすじは謎に包まれており、初回シリーズの10話でグループの半生がどこまで描かれるかはわかっていない。果たして、物語はウータン結成前夜、GZAとRZA、ODBの出会いから始まるのか? ODBがMTVの前で生活保護の受給小切手を現金化した、世間を騒がせたあのインタビューは再現されるのか? もっと気になるのは、RZAが手掛ける脚本は、最終的にグループを解散に至らしめた水面下のいざこざをどこまで正確に描くのだろう?

1997年、ローリングストーン誌のウータン特集記事で、アンソニー・デカーティス氏は序文でグループの金銭問題に言及し、その後の解散劇を予見するような記述を残した。最終的に、それは現実のものとなった。

「各メンバーは自分の稼ぎの20%をグループにいったん戻し、個々のアルバムセールスやアルバムリリースの有無に関係なく、全員に利益が均等に配分される」と彼は書いた。「こうした“全員共有”の取り決めは、嫉みや争いの元になるのではないか。いずれはそうなるかもしれない」

皮肉にも、同インタビューでRZAは「決して解散しない」と主張していた。おそらく番組では、こうした出来事やU-ゴッドら他のメンバーの著作物は避けて通るとみられるが、そうするべきではないだろう。もし世界に正義が残っているならば、『ウータン:アメリカン・サーガ』で、ヒップホップ史上最大かつ最強軍団の真実がたっぷり描かれるはずだ。

Translated by Akiko Kato

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