CD Review

ベック
モダン・ギルト
★★★★

ベック『モダン・ギルト』

(ホステス)発売中


ベック流ミッドライフ・クライシスの乗り越え方

7月8日で38歳になったベックの髪は、かつてのマハリシ・マヘシュ・ヨギ(ヒンズー教の思想家。08年没)なみに長くなった。MySpaceのトップ・ページを開くとベックのフレンド・リストのトップには、ギリシャ哲学の父といわれるアリストテレスもなぜか入っていたりもする。そんなわけで、彼の最新アルバムには、ある種のスピリチュアルなパワーが反映されている。共同プロデューサーはデンジャー・マウス。サウンド的には60年代のサイケデリック・ミュージックへの愛が感じられる。アシッドなトリップ・ギター、モッズ・パーティでかかりそうなダンス・ビート、重層的なハーモニー。そして、その奥には現代社会の日常が横たわっている。デンジャー・マウスはロックへの愛を表明し、ベックは60年代末にタイム・スリップしたかのような思想を作品に持ちこんでいる。TVドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の主人公、トニー・ソプラノのセリフ「人間、自分の人生のハイライトがいつ来るかなんて、それが来るまでわからないものさ」というのを思い出した。

Text by Melissa Guilt