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“家族の絆”と“夢の成就”、 どちらかを選べるか? 名演技が光る『ザ・ファイター』

1110 the fighter 01 “家族の絆”と“夢の成就”、 どちらかを選べるか? 名演技が光る『ザ・ファイター』 ©2010 RELATIVITY MEDIA. ALL RIGHTS RESERVED.

今年3月に劇場公開された本作だが、ポスターヴィジュアルや予告編から“よくあるスポ根もの”という印象を持ち、スルーした人もいるかもしれない。しかし“ボクサーの兄弟が、抱えている問題を乗り越えて栄光を掴む”というあらすじだけでは、この映画の魅力は半分も伝わらないだろう。それは『ザ・ファイター』が、心のこもった役者たちの演技と、一瞬たりとも気を抜かない、監督デヴィッド・O・ラッセルの丁寧なストーリー描写で成り立っているからである。

さびれた工業都市、マサチューセッツ州ローウェルに暮らす、負けてばかりのボクサー、ミッキー(マーク・ウォールバーグ)。トレーナーを務める兄ディッキー(クリスチャン・ベイル)も元選手であり、かつては“街の誇り”ともてはやされたが、今では麻薬中毒者に成り下がり、刑務所に出たり入ったりの繰り返しだ。また、厳しいマネージャーである母(メリッサ・レオ)も、結局はディッキーの過去の栄光を、自分に押し付けているよう。そんな状況に嫌気がさしたミッキーは、ディッキーの逮捕をきっかけに家族の元から離れ、勝ち戦を重ねるようになるが……。

1110 the fighter 02 “家族の絆”と“夢の成就”、 どちらかを選べるか? 名演技が光る『ザ・ファイター』 ©2010 RELATIVITY MEDIA. ALL RIGHTS RESERVED.

実話を基にしたこの作品で、ディッキーを演じたベイルと母親役のレオは、それぞれアカデミーの助演賞を獲得。特に、ベイルは髪を抜き、歯並びまで変えて挑んだ。過度な役作りで知られる俳優だが、そこまでする価値のある作品だったということでもある。刑務所にいる間のディッキーの心の変化や、兄弟それぞれが持つ子供の父親としての視点、7人(!)の姉妹のコミカルな存在など、大筋以外の描写にも、映画の端々で唸らされる。

周囲の助言の、何が正しいか。どうすれば成功を得られるか。その質問に答えはなく、結局は自分の心に従うしかない。大切なものを、手放す必要はないのだ。

1110 the fighter DVD “家族の絆”と“夢の成就”、 どちらかを選べるか? 名演技が光る『ザ・ファイター』
『ザ・ファイター コレクターズ・ エディション』
(2枚組)
DVD発売中
発売元:ギャガ
販売元:ハピネット
3990円

Trailer

Text by Rei Ogura (RSJ)


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