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アタリ・ティーンエイジ・ライオット インタヴュー
「受け身にならず、状況を変えるためにコミットすべきだ」

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「デジタル・ハードコア」と呼ばれる凄まじい爆音と強烈な政治的メッセージで、90年代にカリスマとして君臨したアタリ・ティーンエイジ・ライオットが、昨年突如として新編成で復活。この復活劇がノスタルジーと無縁であることは、全盛期と変わらぬテンションが漲る復帰作『イズ・ディス・ハイパーリアル?』と、爆発的なエネルギーが炸裂したフジロックでのライヴが証明していたと言っていいだろう。会場テントの外に溢れ出るほど集まった観客も、それを肌で感じ取ったに違いない。そんな強力なライヴの目前に、バンドの中心人物であるアレック・エンパイアに迫った。

——昨年からアタリ・ティーンエイジ・ライオットは再始動したわけですけど、その時点ですでにアルバムを作る計画はあったんですか?

アレック・エンパイア「ああ、その頃からアルバムのアイディアは持っていたね。でも、本格的にアルバムを作ろうと決意したのは、イギリスの『MOJO』誌のジャーナリストに言われた一言がきっかけだったんだ。というのも、その頃は再結成したピクシーズのレコーディングが上手く行っていなくて、ストゥージスも全然よくないアルバムを作ってたから、そのジャーナリストから『君たちもアルバムを作るのは無理だよ』って言われてね。でも、俺たちには伝えたいことがたくさんある。だから、やらないわけにはいかない、と思い立ったんだよ」

——なるほど。昨年からライヴをたくさんやってきたと思うんですけど、90年代に活動していたときと較べて、何か違いを感じることはありましたか?

アレック「90年代のときは、メンバー内にも周りにもダークな雰囲気があって、そこまでポジティヴなヴァイブではなかったんだ。ニヒリズムが強かったんだよ。でも、今はもっとポジティヴなエナジーを送り出そう、何かを作り出して違いを生み出そう、っていう前向きな気持ちでプレイしているね」

——それはメンバー間の関係性が、今のほうがいいという意味?

アレック「メンバー間の関係がよくなったとか悪くなったとかいうわけじゃないんだ。アタリは友達同士のバンドというよりは、同じアイディアを持った仲間が集まってレコーディングするっていう集団なんだ。一緒につるんで遊ぶっていうことはないけど、いつも共通の目的を持って活動しているんだよ。だから、今はもっとエネルギーに満ちた音楽を作ろうと思うようになったのは、メンバー間の関係性っていうよりも、時代が関係しているんだと思う」

——具体的に、どのような時代の変化が、アタリのサウンドの変化に影響を与えているんだと思いますか?

アレック「政治的な問題とかだね。例えば去年のウィキリークスの事件。政治家がいろいろと隠蔽をしていたよね。それは僕らの生活にも密接に関わっていることなんだ。僕たちには選挙権があるし、本当は何が起こっているのか知る権利がある。でも、実際は不正や隠蔽をしているような事件が本当に多いから、それにインスパイアされて音楽を作っているんだよ。もし僕らが政治的な意味を持たない曲を作ったら、まったく別のバンドになってしまうよね。アタリがラヴ・ソングを作るなんてありえないだろ?(笑)」

——確かに(笑)。今、ウィキリークスの話が出ましたけど、アルバムにもインターネット以降の状況を扱った歌詞がたくさんありますよね。それはアタリの現代性を証明するものでもあると思いますが、実際、ネットがもたらした社会の変化というのは、あなたはポジティヴに捉えていますか、ネガティヴに捉えていますか?

アレック「実際、ポジティヴな面もネガティヴな面もあるよね。でも、多くの人はネット社会の中で受け身になってしまっていると思う。まるでテレビでも見ているようにね。だけど、本当に使い方次第でネットはよくも悪くもなるんだ。今は政府が僕らの生活をスパイしているみたいになってしまっているだろ? そういうことを知らずに、ずっと受け身でネットを使っていてもよくないんだ。逆にネットのポジティヴな部分っていうのは、人々を繋げる力があるところだね。違う世界の人たちと繋がることができるんだ。福島の原発は、いい例だよ。テレビの報道とは全く違う真実がネットには書かれていたよね。自分の意見を持つためには、そういうツールを使って情報を集めていくのが大事なんだよ」

——アルバムの冒頭を飾る「アクティベイト!」は、“カウントダウン・トゥ・メルトダウン”という歌詞が非常に印象的ですよね。特に我々、日本人にとっては予言的でもありました。これは去年の再始動の時にはすでに出来上がっていた曲ですが、実際はどういったイメージであの歌詞を書いたのですか?

アレック「実は、イギリスのBBCが福島のニュースを報じたときに、あの曲の歌詞を引用したんだよね。“カウントダウン・トゥ・メルトダウン”っていう。もちろん、『アクティベイト!』を書いたときは、福島のメルトダウンが起こるなんて知らなかったよ。でも、歌っている内容は、福島の原発の問題と僕らとの関わり方を現している部分もあると思う。というのは、あの曲では、何か問題があったら、その状況を変えるために参加しなきゃいけない、っていうメッセージを発しているからなんだ。今は大企業や政府の力によって、一般の人々や自然が傷つけられている。そういった状況は変えていかなくちゃならないんだよ。そのためにも、さっき言ったみたいに受け身でいるのではダメで、自分から能動的に参加しなきゃいけないんだ」

——本当はもっと色々と訊きたかったんですが、時間がないようなので、最後にアタリのライヴに僕らが何を期待していいか教えてください。 アレック「たくさんのエネルギーかな(笑)。まあ、アタリの曲はメッセージ性の強いものが多いから、オーディエンスはただ『すごい!』と思うだけじゃなくて、何かを考え始めるきっかけにしてくれたら嬉しいね」

ATARI TEENAGE RIOT

アタリ・ティーンエイジ・ライオット ● 1992年、ドイツ出身のアレック・エンパイアを中心に結成。人気を博すものの2000年に活動休止。翌年メンバーが他界し再始動は絶望視されたが、昨年、新編成で復活。新作も発表した今年は、11月に再来日も決定している。

Text by Yoshiharu Kobayashi
Photograph by Tasuku Amada


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